続けてジェットバス修理のご依頼があり、所沢市まで出かけます。
守谷市から常磐道と外環道を乗り継ぎ、70kmくらいの距離です。
バスタブの設置と同時に施工されたビルトインのタイプで、お住いの
建築以来20年以上経過しているそうです。動作しなくなったのは
5年以上も前のことで、製造元を始めあちらこちらに問い合わせるも
修理の見込みがなく、バスタブに開いたタダの穴と化して長いそう
です。お伺いしてみると、周囲がタイル張り壁面で囲まれ、内部の
点検はほぼ不可能です。到着直後に引き上げそうになります・・。
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バスタブサイドに取り付けられている操作
パネルです。右はON・OFFの押しボタンSW、
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左側は回転するツマミでパワー調整用です。
タカラスタンダード社製であることが分かります。
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今さら動き出す可能性はないものの、
万一に備えてバスタブに水を張ります。
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バスタブ側面の吸水口およびジェット
吹き出し口を水没させておきます。
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浴室内で点検のしようがないということは・・、
屋外に出てみると浴室外にありました。
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バスタブに隣接する位置に
いかにも風のボックスです。
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ボックスのカバーを開けてみると
やはりジェットポンプです。
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浴室壁面を屋外に貫通する穴があり、そこを
2本の配管(吸水・吹き出し)が通ります。
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モーターの横に配線が集まる部分が
あり、カバーがネジで固定されています。
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カバーの表面に中の端子の説明が貼られて
います。年月が経過し一部判読不能です。
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想像力を働かせ何とか読み出した結果です。これだけ
分かれば何とかなりそうです。まず、図中の円で囲んだ
部分、ここに外部からAC100Vが接続されるようです。
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カバーを外し端子を確認します。ここに
AC100Vが来ているはずですが・・、
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電源が接続されていなければ
そもそも動作するはずありません。
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電源の配線を辿ります。ブレーカーを
経由してから地中に入っていきます。
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数m離れた軒下で地面から出てくる
ACコードを発見。もしかすると・・
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すぐ近くの外壁面に屋外用コンセントがあり、
いかにもここに差し込まれていた感じです。
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コンセントにプラグを差し込むと
端子にAC100Vが復活しています。
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電源のAC100Vが接続されたので、次はモーターのON・OFFを
制御する配線を調べます。カバーの表示に「運転スイッチ」の
表示があるわけで、この端子(配線)にまず間違いありません。
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端子に接続された配線は、外壁を通り抜け浴室内に
入っています。先ほどの押しボタンSWにつながるのでは。
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仮説として、押しボタンSWによりこの端子間が短絡する
ことでONになるのではないか・・そんな簡単でしょうか。
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「運転スイッチ」の端子間には26Vほどの直流電圧が
かかっています。配線の先はもしかすると可変抵抗器かも
知れないし、もっと複雑な回路構成かも知れません。12Vを
短絡した瞬間、過電流が流れて本体が破壊されるのでは・・。
心配が高まる中、回路計を500mA電流測定にセットし火花が
飛ぶことも覚悟の上、テスト棒を「えぃ」とばかり当てると、
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小気味よい音を立ててモーターが動き出します。急いで
浴室内に戻ってみると、この通り吹き出し口からジェット流が
ガンガン出ているではないですか。配管内に長年残っていた
水が大量のスラッジを吐き出し、バスタブ内が大変なことに
なっています。が、パイプクリーニングで何とかなるでしょう。
何よりポンプが息を吹き返し、絶望視されていたジェットバスが
これで復活します。ポンプの損傷やモーターの焼損といった
致命的な故障ではありませんでした。そして「運転スイッチ」の
動作は、端子が一瞬短絡される度に、つまり浴室内の押し
ボタンSWが押される度に、ONとOFFを繰り返す仕組みです。
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心臓部が復活したことで、安心して
周辺部の整備に取り掛かれます。
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ジェット流の勢いを調整するツマミです。
内部にバルブの開閉シャフトがあります。
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ツマミを回して奥にあるバルブの
開閉を調整する構造です。
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右側はジェットをON・OFFする押しボタンSW
ですが、取り付け基部がぐらぐらして不安定です。
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しかし、取り付け状態を改善しようにも
周囲の樹脂製リングを脱着できません。
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押しボタンSWを引き出すと、ポンプユニット
から来る配線も一緒に出てきます。
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パネルのベースプレートをアクリル材あたりで新しく
したいうと思うのですが、どうしても外れてきません。
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金属製のリング部品も固着したままです。
樹脂部品を一新する計画は取り止めます。
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残るはこの押しボタンSWです。押し込んでも
ジェットバスが起動しなくなっていたのですから、
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内部の電気接点が接触不良を
起こしているに違いありません。
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接点復活剤を吹き付けてはみますが、
回路計を当てるとしっかり導通があります。
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おかしいと思い念のため配線にかかる電圧を
調べます・・。何と、26Vが来ていません。
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再び屋外に出て「運転スイッチ」の配線を調べます。
外壁の開口部はいかにもヤッツケ仕事で穴を開けた
ステンレス板で覆われています。ここで開口部の
奥から配線を引き出してみると、何と途中でぶっつり
切れています(写真は既に接続・修復した状態です)。
長い時間何かと擦れ合って断線したような状況では
なく、不自然にぶっつり切れています。その原因まで
調べ上げることは今回の修理には含まれませんが。
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断線を修理した後、浴室内の配線をもう一度点検
すると電圧が確認できます。もちろんこの配線の
短絡により、モーターをON・OFFすることができます。
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パネルのベースプレートを脱着できない以上、
現状のままで使用に耐えるよう改善します。
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大きな問題はこの押しボタンSWを
パネル内で固定できないことです。
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おそらく何か元の固定用部品が脱落した
のだと思います。代用部品を用意します。
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水道工事用の樹脂製リングに
ゴム系接着剤を塗り付けて、
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押しボタンSWを挿入した上から
押さえ付けるようにして入れます。
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元のツマミをそのまま装着します。せめて
再塗装くらいはしたかったのですが。
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ポンプのON・OFF、ジェット流の調節、
両ツマミとも本来の機能通りに復旧です。
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強力なジェットポンプにより、バスタブの
前後から大量のバブルが放出されます。
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ジェットバスの付いていないお風呂と、故障した
ジェットバスが付いているお風呂、どちらがマシか
考えさせられるような製品の故障。製造元を始め
ご依頼主は問い合わせる先々で依頼を断られて
います。ネズミにでもかじられたかのようなただの
断線が原因です。地域の水道設備屋さんや電気
修理店で十分修理可能なのに、調べてもくれない
この現状、この不憫さはいったい何なのでしょう。
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「故障したジェットバスが付いているお風呂」で
5年以上も我慢されてきたご依頼主を、何とも
お気の毒に思います。ですが何か御縁があった
のか修理のご用命をいただき、幸いなことに
修理に成功した以上は、まだまだ綺麗で機能も
十分なお風呂を、これから毎日楽しんで下さい。
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