宅配ボックスと同様、これまでジェットバスの修理も戦績半々と
いったところです。リモコンやケーブルの断線など、直るべくして
直る単純な不具合でしか成果を得ることができていません(それは
それで喜んでいただいてはおりますが)。しかし、ジェットポンプや
電源・制御ユニットなど主要部が故障していると、ほとんど手を
出すことができないままです。何とか風穴を開けたいものです。
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こちらのジェットバス付き浴室、動作しなく
なり既に数年が経過しているそうです。
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片側にジェット水流の吹き出し口が
2個あります。下は吸い込み口です。
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足元側にも2個の吹き出し口が
あります。中央は湯沸かし口です。
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壁面に操作用のリモコンが取り付けられています。
内部に浸水して故障した・・程度なら良いのですが。
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ボタンを操作しても何も反応がありません。
正常であればLEDがどれか点灯しそうなもの
ですが、そもそも通電していないような様子です。
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かつての修理と同様に、浸水によるリモコン
内部の故障程度であれば嬉しいのですが。
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長年浴室内に取り付けられていた
機器は、錆やカルキで固着しがちです。
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固定ネジを何とか緩め、壁面
からリモコンを引き剥がします。
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リモコン背面から電気配線に加え、ゴムホースが
接続されています。リモコン内部の排水用です。
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排水用ホースが付いているとは万全な
設計で、故障の可能性が一挙に後退します。
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基板面を点検しますが、顕著な
腐食部分などは見られません。
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リモコンが問題ないとすると電源ユニットが疑われます。
天井裏に設置されていると予めお聞きしております。
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気は進みませんが、脚立に昇り
天井の点検口を開けます。
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点検口から家屋の小屋組みが見えます。本当の天井は
こちらで、ユニットバス天井との間に空間があります。
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ライトで照らしてみると、少し奥まった
ところにユニットが置かれています。
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ジェットポンプのモーターに電力を供給する電源
ユニット、およびリモコンの操作を受けて動作を
制御する回路が組み込まれていると思われます。
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現場で対応できることには限りがありますので、
先ほどのリモコン共お預かりし工房に持ち帰ります。
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側面にスペックが記載されたシールが貼られています。
AC100Vから最大15AのDC15~20Vを出力します。
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側面にAC入力、ジェットポンプの電源出力、
リモコンと水位センサーの接続コネクタが並びます。
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この時点で、ジェットバス用電源ユニットの
内部など全く未知の世界です(何と無謀な)。
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家電品のように人の目につく場所に
設置できる体裁・・ではとてもありません。
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無骨な金属製外装カバーを
外して内部を点検します。
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側面長いっぱいのヒートシンクに、風量の
ありそうな冷却ファンが組み込まれています。
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DC300W(20V・15A)を
出力するスイッチング電源です。
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ユニット内側面にサーキットブレーカーが取り付け
られています。浴室内での安全設計が厳重です。
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ヒートシンクに並ぶパワーデバイス、TRか
FETかは分かりませんが。一部は整流器です。
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不良個所を探すためシャシーから
基板を取り出してみます。
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ヒートシンクは底面から
ネジで固定されています。
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浮き上がってはきましたが、
ブレーカーが干渉します。
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機器内に組み込まれて過電流を遮断する
優れものです。先に外しておきます。
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1枚の基板に電源回路から制御
回路まで全てが収められています。
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コストを抑えた合理的な設計なのでしょうが、これでは
各部品の役割がブロック単位ですら判読できません。
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毎日のように飽きるほど基板を眺めていると、じんわり(?)と
回路構成が見えてきます。大出力のスイッチング電源部とその
制御回路、リモコンからの信号を受け電源を作動させる回路が
同居しています。大雑把に見て、コイルや電解コンデンサなど
大サイズの部品はスイッチング電源、小さなC・RやICは制御
系を構成します。それらがワンボードに詰め込まれています。
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基板の表側に焼損箇所があります。写真は既に部品を交換した
状態ですが、制御系駆動用に小電力を作り出す部分です。パワー
TRが破損し、隣の定電圧ダイオード(ツェナー)は焼き切れて
います。また周囲の基板表面が変色しているのが分かります。
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基板の裏側を見ると、表側以上に黒く変色しています。
かつてツェナーやTRが過熱したことが分かります。
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運が良ければ、この小電力電源回路を修復
すればジェットバスが復活するかも知れません。
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面倒くささを押し返して、該当部分の回路図を起こします。
パワーTRはコレクタ電流がカバーできれば何とかなります。
困るのは焼けてしまったツェナーダイオードのスペックです、
ツェナー電圧が分かりません。2Vあたりから少しずつ部品を
変えながら、出力電圧とパワーTRの電流を確認します。4V
手前でコレクタ電流が急に増加しパワーTRが発熱するので、
3.8Vのツェナーに決めます。その他、ドライブ用のTRや
怪しいC・Rも交換しますが、回路各部の設計電圧等は当然
分からないままです。。悔しいことに、ジェットポンプに相当
する負荷を用意できず、かつリモコンとの通信プロトコルも
不明なので、現場に出向いて動作確認するしかありません。
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リモコンの回路図も作成済みです。本体側の通信端子を
ON・OFFしながら動作状態を表す色違いのLEDを点灯
させるなかなか巧妙な回路です。本体から各端子に出る
電圧を測定しましたが、スイッチ操作との関係を推定する
ことすらできません。本体側はプロセッサがプログラムで
処理しているのでしょう。BB(ブラックボックス)です。
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本件の修理作業を開始して間もなく、師と仰ぐ「有限会社
タナテック(千葉市)」の田辺氏を訪問する機会がありました。
手詰まりとなったジェットバス回路基板について、攻略法を
ご教示いただくまたとないチャンスです。回路計を片手に30分
近くも基板を調べて下さり、故障しやすい箇所・部品、電圧や
信号の追い方、ダミー負荷による動作試験方法など山ほど
アドバイスとヒントをいただきましたが、最後に言われた
「諦めずに頑張りなさい」に最も元気づけられ、再び工房へ。
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