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シャンプー椅子を年末までに-3(2025.1.25)


あり合わせのビニルチューブで補修し、オイルを補充して
運転してみますが、背もたれ傾斜用のシリンダが思うように
伸縮しません。オイルが圧送されて伸長するものの、伸びた
きり収縮してきません。リターン経路のどこかに詰まりがある
のか、電磁弁が正しく作動していないのか、油圧ポンプにも
何か問題があるのか、暗中模索&試行錯誤が続きます。

 

背もたれ傾斜用シリンダのリターン側、
チューブの接続ポートを点検します。
 

いったん抜き取ってネジ周りを清掃し、
新しいシリコンテープを巻き付けます。
 

見たことのあるホース継手です。
レンチを使いしっかりねじ込みます。

 

油圧専用のチューブを手配します。
内径を合わせてモノタロウで購入。

 

シャンプー椅子に組み込まれている油圧システムを
整理しておきます。油圧オイルを貯めるリザーバタンク、
オイルを圧送する油圧ポンプ、オイルの経路を制御する
電磁弁ブロック、そして背もたれ傾斜用と座板昇降用
2本の油圧シリンダで構成されています。オイル漏れに
長期間晒されたことで、どの部品もひどく油まみれです。

 

油まみれと戦いながらも、チューブに
よる各部接続関係を割り出します。

 

連日の試行錯誤により、オイルの循環経路も
明らかになります。不具合が調べやすくなります。

 

油圧専用のチューブですが、内径を合わせた
はずなのにキツくてポートに差し込めません。

 

近所のホームセンターで(一応)耐油性のビニル
チューブを手に入れます。これなら楽に入ります。

 

抜け防止に金属製クリップ
バンドも用意しておきます。

 

予めチューブに通しておき、先に
電磁弁ブロック側に接続します。

  

ビニルチューブでも差し込みはかなりきつめです。
ラジオペンチで掴み強く押し込みます。ところが・・
 

チューブの径が膨らみクリップバンドが入りません。
リターン側でさほど圧はかからないのでOKでしょう。
 

油圧ポンプにつながる圧送側のチューブです。高圧のオイルにより
シリンダを伸張させる側で、圧力に耐えるよう特殊なコネクタが使用
されています。チューブも布引きで被覆された、いかにも高圧対応の
チューブです。シリンダを伸張させることができるので、特に問題は
なさそうですが点検します。チューブの末端には金属部品が付いて
おり、ビニルチューブを差し込むような簡単な構造ではありません。
 

こちら側も新しいチューブに交換したいのですが、いくら検索しても
同様の製品が見つかりません。チューブ自体は代替品で何とか
なるでしょうけれど、末端に金属プラグ付きの専用チューブである
必要があります。モノタロウの製品カタログ、配管用品の専門店
Googleレンズを駆使しても見つかりません。ほんの2・3例だけ
シャンプー椅子の修理記事の中に同じ部品が写り込んでいます。
シリンダ側に付いているコネクタも同様で、交換は不可能です。

 

コネクタの横にピンが差し込まれて
チューブ端の金具を固定しています。

 

チューブを抜いた瞬間、シリンダ内に残って
いるオイルが内圧により吹き出てきます。

 

そのような失敗の度に工房の
床がオイルの海と化します。

 

圧送側のチューブを、シャンプー
椅子後方に引き抜いていきます。

 

元の(古い)リターン側チューブと一緒に
スパイラルチューブでまとめられています。

 

スパイラルチューブをほどきながら
2本のチューブを取り出します。

 

圧送側チューブの先は電磁弁ブロックのポートに
接続されています。同じコネクタが使われています。

 

取り外した圧送側チューブです。ビニルコーティングの
ような外被が劣化し、ボロボロに剥がれ落ちています。

 

外被が剥がれていてもオイルが漏れ出す様子は
ありませんが、何とか補修しておきたいものです。

 

編み出したのは、熱収縮チューブで
全体を覆ってしまう方法です。

 

収縮前内径8.4mmを入れようと
しますが、少々きついようです。

 

内径10.4mmの熱収縮
チューブに変更します。

 

何とか入っていきますが、まだ残っている
被覆のビニルが邪魔かつ煩わしいです。

 

これまでも散々剥がれ落ちて周囲を汚して
いますが、いっそ全部取れて欲しいものです。

 

試しにツメ先で擦ってみると
簡単に剥がれてきます。

 

スクレーパを持ち出して
一挙にこそぎ落とします。

 

大量の劣化被覆が落ち、内側の白い
布引き(ガラス繊維?)に置き換わります。

 

改めて内径10.4mmの熱収縮
チューブを全体に通します。

 

熱収縮チューブの材質(ポリオレフィン樹脂)に
どのくらい耐油性と防油性があるか分かりませんが、

 

バーナーで炙って収縮させ、
チューブに密着させます。

 

なんか・・いい感じです。熱収縮チューブ材にそれなりの
厚みがあり、全体が密着した状態でしっかりしています。
それでいて可撓性が損なわれておらず、大きく曲げることも
できます。高圧下でもチューブ全体からオイルが滲み出て
来るようなことは防止できそうです。新品部品や代替品を
入手できない以上、何としてでも再利用しなければなりません。
 

末端プラグ金具の先まで熱収縮
チューブに覆われているので、

 

プラグ口元の位置ではみ
出し部分をカットします。

 

コネクタに差し込む前に、プラグ先端に金属製の
リングを1つ通します。オイルのリーク防止用でしょう。

 

それから、内径がプラグ先端の外径に
一致するゴム製のリングを用意して、

 

コネクタ差し込み穴の内部に嵌め込みます。
元々入っていたリングが劣化していたからです。

 

チューブのプラグ部分を差し込み
引き抜いてあったピンを戻します。

 

プラグ先端の段付き部分にピンの先が入り込み、
プラグ(チューブ)はロックされて抜けてきません。

 

どうやらこの接続部もオイル漏れの原因だったようです。
油圧ポンプを作動させると隙間からオイルが漏れてきます。

 

コネクタの内側、プラグの先方に入れるリングは
漏れ防止のシールです。材質と長さを変更します。

 

プラグを押し込むことで、あるいは経路内に高い油圧が
加わることで、リングが潰れ隙間を密閉するようです。

 

リング(シール)が大きすぎると、ロックピンを挿入できる
位置までプラグが入り込みません。何とか押し込めるよう
リングを作り直し、オイルが漏れなくなるまで繰り返します。

 

シャンプー椅子フレームの隙間を
通し、元の配管位置に戻していきます。

 

いったんシャンプー椅子
背後に取り出します。

 

最下部を再び前方方向に折り返し、
電磁弁ブロックの手前に引き出します。

 

電磁弁ブロックのポートも同じコネクタなので、
新しいリング(シール)に交換して接続します。

 
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