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シャンプー椅子を年末までに-4(2025.1.31)

都内足立区の美容室ででシャンプー椅子をお預かりした
のが11月中旬。ほぼ1か月間試行錯誤を続けています。
年末が近づき美容室が書き入れ時に入ることは承知して
おります。何とか間に合わせて差し上げたいものです。

 

可能な限り分解したシャンプー
椅子を元通りに組み戻します。
 

油圧配管を交換・修復し、オイルを
補充して一応試運転を終えています。
 

油圧ポンプ、電磁弁、リザーバタンク、制御回路
など主な構成部品を元通りに配置し固定します。

 

混在するチューブ類とスイッチやセンサーの
配線ケーブルの配置も分かりやすく整えます。

 

試運転の後、リザーバタンクのオイルが
かなり減っていたのでさらに補充します。

 

オイル経路やシリンダ内の
オーバーヘッド分でしょう。

 

気付くと本体下部の電源
スイッチが破損しています。

 

同等の部品は入手可能ですが
破片を修復して再利用します。

  

丈夫な金属フレーム内に
収まるので大丈夫でしょう。

 

可動に関連する部分が組み上がり、
あらためて動作を確認してみます。

  

上下スイッチを押して座面を昇降させて
みます。元々問題なく動作していましたが、

 

昇降用シリンダにオイルが圧送され座面が上がります。
下降では電磁弁が開放され自重でオイルが戻ります。
 

背もたれを倒す操作をしてみます。2本のスプリングで
シリンダが押し縮められ、電磁弁が開きオイルが戻ります。

 
 
試運転時は動きが鈍いままでしたが、シリンダ内の
残留エアが抜けたせいかスムーズに倒れます。
 

逆に背もたれを起こす操作をしてみます。修理前は
あちらこちらからオイルが漏れ出ていましたが、
 

スムーズかつ力強く起き上がってきます。
チューブの修復が功を奏したようです。
 

ここで2・3日放置してみて周囲にオイルが漏れないか
確認します。交換・修復したチューブもさることながら、
圧送側チューブのコネクタ部でオイル漏れが止まって
いるか心配です。結果は、コネクタ周囲にオイルの
滲み出しもなく、取りあえず漏れは解消したようです。

 

長期的な微量の漏れは止むを得ないかと思います。
減少分を補うためリザーバタンクが用意されています。

 

そのような判断から不具合の修理は完了とし、
本体下部周りのカバーを取り付けて行きます。

 

本体後ろ(写真右側)の足踏みレバーも
座面を昇降させるスイッチです(動作確認済)。

 

反対側のカバーを
取り付けます。

 

ここで、リザーバタンクの補充口が開いたままである
ことに気付きます。再度分解し適当なネジで塞ぎます。

 

カバーが艶やかに見えるのは、清掃した
際に漏れたオイルが塗り広がったせいです。

 

カバーは数か所で樹脂製の
プッシュリベットで固定されます。

 

元の位置に戻したいのですが
変形したり割れたりしています。
  

プッシュリベットは車用品でもあるので
近所のオートバックスで調達してきます。

 

新しい部品はすんなりと収まり、
かつしっかり固定できます。

 

ひと月前、工房に運び込んできた状態に戻ります。
幾度となく作業室の床に油圧オイルがぶちまかれ、
その度に大量の洗剤を使って拭き取り掃除をして
きました。シャンプー椅子の修理以前に、掃除の
方がうんざりです。作業の完了を願うばかりです。

 

ここからさらに数日をかけて、
入念に動作確認を行います。

 

座面にクッションはないものの、
何とか腰掛けることができるので、

 

実際に腰掛けた状態でも
各部を動作させてみます。

 

油圧のパワーは凄いもので、体重
〇〇kgの私を軽々持ち上げます。

 

12月24日クリスマスイブ、修理を終えたシャンプー
椅子の納品で再び美容室を訪れます。美容室は
この日、年内最後の休業日で、翌日から大晦日
まで最も忙しい日々を迎えます。元に戻ってから
こそ正常に動いてくれないと困ります・・納品後に
機嫌が悪くなることを実際何度か経験しています。

 

元の位置に据え付け、電源を接続し
工房と同じ動作確認を行います。

 

ご依頼主(店主)が見守る前で
各部が静かにしっかり作動します。

 

製造元が定める安全試験のような確認は出来ませんので、
例えば始業前に負荷をかけての各部の動作や、本体周囲に
オイルが滲み出していないかなど、必ず確認して下さるよう
お願いします。それでも今回の修理(=勉強)で理解できた
こととして、油圧システムの構造上、どこかにオイル漏れの
ような不具合が生じても、突然座面が落下したり背もたれが
後方に倒れるような危険な事故は起きにくいよう設計されて
います。歴史のある枯れた技術には知恵が凝集されている
のです。何年経ってもチューブが破れなければ、破れても
製造元で交換修理してもらえるならベターなのですが。

 
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