守谷市おもちゃ病院に持ち込まれたバッティングマシーンです。
プラスチック製の軽いボールを使用する室内でも楽しめるおもちゃです。
時間内で修理の手が回らず、お預かりしてきました。
故障状況は単に「動かない」とのことです。
スライドスイッチに不具合があるだけの簡単な故障ですが、安全に遊んでもらえるよう丁寧に作業します。
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1.故障の確認・分解 |
室内遊戯用のバッティングマシーンはかなり以前から市販されていたと思います。
最近のものを手に取って見る機会を得ましたが、堅牢で無駄のないデザインです。
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ベース部分に野球ボールの球体があしらわれ
遊び心に加えて安定性のあるデザインです。
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ボールのトスを上げる部分です。内側のツメのような
部品が瞬間的にボールを弾いて放り上げます。
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一度に数個のボールをセットできるよう
スパイラル状のケージが取り付けられています。
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ケージはこのように3分割できる組み立て式で
コンパクトに収納する工夫がされています。
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底部に乾電池ホルダーがあります。
ネジを緩めてカバーを取り外します。
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お預かりした時点で乾電池がセット
されていました。UM-2が3本です。
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最初に乾電池の電圧を確認します。3本中の
2本は0.5ボルト、1本はほぼ0ボルトです。
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動作を確認するため新しい
乾電池に交換してみます。
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スイッチを入れてみますが何の反応もあり
ません。明らかに内部に故障があります。
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本体は大きく左右に2分割されており、その
片側から11本ものネジで固定されています。
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本体の組み合わせには全て同サイズの
セルフタッピングネジが使用されています。
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内部の組み付けは分からないので
構造を確認しながら慎重に分解します。
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本体が左右に分かれ、間に挟まれるように
動力ユニットが組み込まれています。
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乾電池ホルダーも左右の本体に
挟まれて保持される構造です。
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2.スライドスイッチの修理 |
本体片方の内側に電源スイッチが取り付けられています
リード線を引きずるのでいったん取り外します。
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電源スイッチは安価な開放型スライドスイッチで
本体取付用のブラケットとスイッチノブが付いています。
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各部に電源が供給されているか確認するため
ここで再度新しい乾電池を入れてみます。
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突然、モーターに電源が入りマシーンが動き始めました。
しかし、スイッチのツマミがぐらぐらしています。
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スライドスイッチ本体のぐらつき、および接点の
接触不良が不具合の原因のようです。
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ブラケットから外します。本来ならばパーツを交換する
ところですが、スライドスイッチの修復を試みます。
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開放型スライドスイッチの構造は簡単です。
エポキシ基板を掴んでいるツメを起こします。
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ツメによる基板の固定が最初から緩いようです。
ほぼ垂直に立てれば基板が外れてきます。
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2回路分の固定接点が付いた基板(右)と、
可動切片が付いたフレーム(左)に分かれます。
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固定接点の接触部分の状態が良く
ありません。汚れが付いています。
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手っ取り早くヤスリを使って汚れを落とします。
というより、材料の表面を少し削ってやります。
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汚れが完全に削り落とされて金属の光沢面が出てきました。
ペーパーでヤスリの痕(キズ)を消すべきですが略します。
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基板を組み付けラジオペンチでツメを折ります。
当初のような緩みがないようしっかり折り曲げます。
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動作テストを行います。安定してON・OFF
できます。ツマミのぐらつきもありません。
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3.内部のクリーニング |
元気の良い持ち主に気に入られているせいか
長い間に内部に埃が多く入り込んでいます。
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とりわけ底面の部分には
埃が集まり積もっています。
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クリーナーを使って一挙に吸い取ります。糸のように
見えるのは配線の固定に使われた接着剤の一部です。
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クリーニング前(before)の反対側
底面に埃が積もっている状態です。
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クリーナーのブラシが届かない奥まった部分の
埃は、塗装用の刷毛を使って取り除きます。
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クリーニング後(after)の状態です。上の
クリーニング前(before)と比較してみて下さい。
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4.組み上げ・修理完了 |
元通りに組み付けていきます。動力ユニットの
収まりや内部配線の取り回しに注意します。
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左右本体を合体させます。隙間なく
しっくり合体する位置を確認します。
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11本のネジを元の位置にねじ込みます。モーター
ユニットの高さが変えられることも確認します。
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無事組み上がりました。乾電池を入れて
最終的な動作確認を行います。
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ボールの発射タイミングが近づくと、ブザーの断続音が鳴り本体手前のLEDが点滅
します(良く考えられています)。その直後にバンという音がしてボールが飛び出します。
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