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バッティングマシーンの修理(2015.09.16)


守谷市おもちゃ病院に持ち込まれたバッティングマシーンです。
プラスチック製の軽いボールを使用する室内でも楽しめるおもちゃです。
時間内で修理の手が回らず、お預かりしてきました。
故障状況は単に「動かない」とのことです。
スライドスイッチに不具合があるだけの簡単な故障ですが、安全に遊んでもらえるよう丁寧に作業します。

 
1.故障の確認・分解

室内遊戯用のバッティングマシーンはかなり以前から市販されていたと思います。
最近のものを手に取って見る機会を得ましたが、堅牢で無駄のないデザインです。
 

ベース部分に野球ボールの球体があしらわれ
遊び心に加えて安定性のあるデザインです。
 


ボールのトスを上げる部分です。内側のツメのような
部品が瞬間的にボールを弾いて放り上げます。
 

一度に数個のボールをセットできるよう
スパイラル状のケージが取り付けられています。
 


ケージはこのように3分割できる組み立て式で
コンパクトに収納する工夫がされています。
 

底部に乾電池ホルダーがあります。
ネジを緩めてカバーを取り外します。
 


お預かりした時点で乾電池がセット
されていました。UM-2が3本です。
 

最初に乾電池の電圧を確認します。3本中の
2本は0.5ボルト、1本はほぼ0ボルトです。
 


動作を確認するため新しい
乾電池に交換してみます。
 

スイッチを入れてみますが何の反応もあり
ません。明らかに内部に故障があります。
 


本体は大きく左右に2分割されており、その
片側から11本ものネジで固定されています。
 

本体の組み合わせには全て同サイズの
セルフタッピングネジが使用されています。
 


内部の組み付けは分からないので
構造を確認しながら慎重に分解します。
 

本体が左右に分かれ、間に挟まれるように
動力ユニットが組み込まれています。

 

乾電池ホルダーも左右の本体に
挟まれて保持される構造です。

 
2.スライドスイッチの修理

本体片方の内側に電源スイッチが取り付けられています
リード線を引きずるのでいったん取り外します。
 

電源スイッチは安価な開放型スライドスイッチで
本体取付用のブラケットとスイッチノブが付いています。
 

各部に電源が供給されているか確認するため
ここで再度新しい乾電池を入れてみます。
 

突然、モーターに電源が入りマシーンが動き始めました。
しかし、スイッチのツマミがぐらぐらしています。
 

スライドスイッチ本体のぐらつき、および接点の
接触不良が不具合の原因のようです。
 

ブラケットから外します。本来ならばパーツを交換する
ところですが、スライドスイッチの修復を試みます。
 

開放型スライドスイッチの構造は簡単です。
エポキシ基板を掴んでいるツメを起こします。
 

ツメによる基板の固定が最初から緩いようです。
ほぼ垂直に立てれば基板が外れてきます。
 

2回路分の固定接点が付いた基板(右)と、
可動切片が付いたフレーム(左)に分かれます。
 

固定接点の接触部分の状態が良く
ありません。汚れが付いています。
 

手っ取り早くヤスリを使って汚れを落とします。
というより、材料の表面を少し削ってやります。
 

汚れが完全に削り落とされて金属の光沢面が出てきました。
ペーパーでヤスリの痕(キズ)を消すべきですが略します。
 

基板を組み付けラジオペンチでツメを折ります。
当初のような緩みがないようしっかり折り曲げます。

 

動作テストを行います。安定してON・OFF
できます。ツマミのぐらつきもありません。

 
3.内部のクリーニング

元気の良い持ち主に気に入られているせいか
長い間に内部に埃が多く入り込んでいます。
 

とりわけ底面の部分には
埃が集まり積もっています。
 

クリーナーを使って一挙に吸い取ります。糸のように
見えるのは配線の固定に使われた接着剤の一部です。
 

クリーニング前(before)の反対側
底面に埃が積もっている状態です。
 

クリーナーのブラシが届かない奥まった部分の
埃は、塗装用の刷毛を使って取り除きます。

 

クリーニング後(after)の状態です。上の
クリーニング前(before)と比較してみて下さい。

 
4.組み上げ・修理完了

元通りに組み付けていきます。動力ユニットの
収まりや内部配線の取り回しに注意します。
 

左右本体を合体させます。隙間なく
しっくり合体する位置を確認します。
 

11本のネジを元の位置にねじ込みます。モーター
ユニットの高さが変えられることも確認します。
 

無事組み上がりました。乾電池を入れて
最終的な動作確認を行います。
 

ボールの発射タイミングが近づくと、ブザーの断続音が鳴り本体手前のLEDが点滅
します(良く考えられています)。その直後にバンという音がしてボールが飛び出します。

 
 
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