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お散歩する犬のおもちゃ修理(2017.7.26am)


定例の守谷おもちゃ病院診療日、犬の縫いぐるみが回ってきました。
裁縫の技術も道具も持ち合わせないため、縫いぐるみ類は他のドクターに
お任せしたいのですが、持ち込まれる数が少なくないのでそうも言ってられ
ません。なるべく裁縫の場面がないことを祈りつつ、診察に取り掛かります。

 

リードの先に付いているハンドル内に操作用のレバーが
あります。握ると犬が歩き、放すとその場でお座りします。

 

リードを引きながら、一緒にお散歩が
できる縫いぐるみおもちゃということです。

 

修理依頼書には「左後足が伸び切って
動かない」と記入されています。

 

お腹の部分に乾電池を内蔵しています。
電源の供給は特に問題ありません。

 

確かに左後足の様子が変です。固定
されておらず宙に浮いてぐら付いています。

 

縫いぐるみを少し捲ってみます。足の固定部
2か所のうち一方にネジがありません。

 

内部にアクセスするため、止むを得ず
縫いぐるみの脱着に取り掛かります。

 

足先の周囲に溝があり、何かで縫い
ぐるみが溝内に固定されています。

 

縫いぐるみの足先が袋縫いに加工されており
タイラップで溝内に埋め込まれています。

 

タイラップの一部をカットすることで
縫いぐるみを脱がすことができます。

 

左後足の取り付け部分です。
かなり深刻な状況です。

 

辛うじてネジが残っている方も
いったんネジを緩めます。

 

修理依頼書に脱落した部品が添えられていました。取れて
しまった部品を保管しておいて下さると大変助かります。

 

大きく空いた穴は、この破片が欠け飛んだ跡です。後足を介して
かなり強い衝撃が加わったのではないかと思われます。

 

一方の固定ネジは、固定軸ごと折れて
います。先にこの軸を元通りに修復します。

 

接着面積が小さいので十分な強度を
確保するには少し不安があります。

 

樹脂用接着剤(二塩化メチレン液)を接着両面に
十分塗布し、溶けかけた樹脂同士を融合させます。

 

次に欠け飛んだカバーの一部を修復
します。破断面を正確に一致させます。

 

幸いなことに破断面に沿って細かな
割れはほとんど生じていません。
 

一致させた破断面に沿って
接着剤を流し込みます。

 

損傷部分はほぼ元通りに修復できました。ところが、添えられていた破片が
まだ残っています。また、分解中に新たに内部から落ちてきた破片もあります。

 

残っている破片の脱落元を調べるため
さらに縫いぐるみを剥がします。

 

ここまで剥がせば、完全に内部の
機構にアクセスすることができます。

 

後足を巧妙に動作させている機構が理解できます。
しかし、破片の脱落元がどうしても見つかりません。

 

これ以上深追いすることは見合わせ、
元通りに組み上げ・・着せます。

 

後足は縫いぐるみをたくし上げてネジ止めします。
このあたりの手順がなかなか分かりません。

 

足先には新しいタイラップを入れて固定します。
手持ちがなかったのでワイヤーで代用します。

 

これで後足が伸び切ることもなく、レバーの操作で飼い主の
お散歩にしっかり付いてきます。優しく遊んであげて下さい。

 
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