定例の守谷おもちゃ病院診療日、犬の縫いぐるみが回ってきました。
裁縫の技術も道具も持ち合わせないため、縫いぐるみ類は他のドクターに
お任せしたいのですが、持ち込まれる数が少なくないのでそうも言ってられ
ません。なるべく裁縫の場面がないことを祈りつつ、診察に取り掛かります。
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リードの先に付いているハンドル内に操作用のレバーが
あります。握ると犬が歩き、放すとその場でお座りします。
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リードを引きながら、一緒にお散歩が
できる縫いぐるみおもちゃということです。
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修理依頼書には「左後足が伸び切って
動かない」と記入されています。
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お腹の部分に乾電池を内蔵しています。
電源の供給は特に問題ありません。
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確かに左後足の様子が変です。固定
されておらず宙に浮いてぐら付いています。
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縫いぐるみを少し捲ってみます。足の固定部
2か所のうち一方にネジがありません。
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内部にアクセスするため、止むを得ず
縫いぐるみの脱着に取り掛かります。
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足先の周囲に溝があり、何かで縫い
ぐるみが溝内に固定されています。
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縫いぐるみの足先が袋縫いに加工されており
タイラップで溝内に埋め込まれています。
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タイラップの一部をカットすることで
縫いぐるみを脱がすことができます。
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左後足の取り付け部分です。
かなり深刻な状況です。
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辛うじてネジが残っている方も
いったんネジを緩めます。
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修理依頼書に脱落した部品が添えられていました。取れて
しまった部品を保管しておいて下さると大変助かります。
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大きく空いた穴は、この破片が欠け飛んだ跡です。後足を介して
かなり強い衝撃が加わったのではないかと思われます。
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一方の固定ネジは、固定軸ごと折れて
います。先にこの軸を元通りに修復します。
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接着面積が小さいので十分な強度を
確保するには少し不安があります。
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樹脂用接着剤(二塩化メチレン液)を接着両面に
十分塗布し、溶けかけた樹脂同士を融合させます。
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次に欠け飛んだカバーの一部を修復
します。破断面を正確に一致させます。
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幸いなことに破断面に沿って細かな
割れはほとんど生じていません。
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一致させた破断面に沿って
接着剤を流し込みます。
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損傷部分はほぼ元通りに修復できました。ところが、添えられていた破片が
まだ残っています。また、分解中に新たに内部から落ちてきた破片もあります。
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残っている破片の脱落元を調べるため
さらに縫いぐるみを剥がします。
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ここまで剥がせば、完全に内部の
機構にアクセスすることができます。
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後足を巧妙に動作させている機構が理解できます。
しかし、破片の脱落元がどうしても見つかりません。
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これ以上深追いすることは見合わせ、
元通りに組み上げ・・着せます。
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後足は縫いぐるみをたくし上げてネジ止めします。
このあたりの手順がなかなか分かりません。
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足先には新しいタイラップを入れて固定します。
手持ちがなかったのでワイヤーで代用します。
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これで後足が伸び切ることもなく、レバーの操作で飼い主の
お散歩にしっかり付いてきます。優しく遊んであげて下さい。
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