おもちゃ病院をしばらくご無沙汰しておりました。休んでいるうちに新年度が
スタートしています。今年度最初の修理は、鍵盤を叩くと音階+メロディが流れ、
動物の人形が色々な動作をするこのおもちゃです。サクッと片付けたいものです。
|
カルテ(修理依頼票)には、「動かない」にチェックが入っています。
どこがどう「動かない」のかまるで分かりませんが、不具合状況を
特定し、故障個所を探し当てることも修理作業の一部です。
|
故障診断は必ず電源の点検から始めます。
乾電池が古くなっていただけ・・少なくありません。
|
乾電池が入っていないので、病院保有の
新しい乾電池(UM-3)を4本入れます。
|
電源スイッチを入れますが、何も
動作する気配がありません(動かない)。
|
内部を調べるため、固定ネジを
緩め底カバーを外します。
|
本体が上下カバーに分離しました。内部の
装置は底カバー側に実装されています。
|
手前の鍵盤とファンクションボタン、
回路基板、奥側は人形を動かす機構です。
|
乾電池ホルダー金具に必要な電圧が
出ているか確認します。OKです。
|
ファンクションボタンを取り付けている
基板を外します。回路基板はこの下です。
|
ファンクションボタンの下を、人形を
動作させるリンクバーが通ります。
|
回路基板の電源端子に回路形を当て
ます。正常な電圧が加わっています。
|
回路に電源が供給されていて動作しない場合、制御
チップの不良が疑われます。修理方法はありません。
|
ところが、特定の鍵盤を押すと音階と賑やかな
メロディが流れ、人形の駆動モーターが作動します。
|
回路基板は無事です。鍵盤に連動する
キースイッチに動作不良があります。
|
鍵盤を取り外すと、その下にキー
スイッチ基盤が取り付けられています。
|
スイッチ基盤を固定して
いるネジを緩めます。
|
12個のゴム製接点を挟み、樹脂版と
プリント基板が2枚重ねになっています。
|
隙間にドライバーの先を入れ、
樹脂版を強引に引き剥がします。
|
ゴム製接点のカーボンコーティングが
基板上の端子両極を短絡する構造です。
|
家電製品のリモコンに多用されている方式で、端子や
カーボンコーティングが劣化しやすく、頻繁に故障します。
|
まず基板側端子をアルコールで清掃します。
必要によりサンドペーパーで軽く研磨します。
|
ゴム製接点の側は、カーボンペンを使用してカーボンコーティングを作り直します。
コーティング面がひどく荒れている場合は、一度完全に除去してから塗り直します。
|
しばらく乾燥させてから、もう一度重ね塗りします。なお、
動作の如何にかかわらず、全キースイッチを補修します。
|
調子の悪いリモコン等もこの方法でほぼ直り
ます。スイッチ基盤を元通りに組み付けます。
|
同じ構造なので、ファンクションキーに
不具合があっても不思議ではありません。
|
ゴム製部品の一部に突起があり、基板の穴に差し込まれて
固定されます。取り外してカーボンをコーティングし直します。
|
上下カバーを元通りに合体させます。人形の
駆動機構が正確に連結するよう留意します。
|
軽く鍵盤にタッチするだけでスイッチが入り、
音声が再生され人形が軽快に作動します。
|
ゴム製接点(ゴムパッド)方式のスイッチ機構は、家電製品のリモコンを中心に
広く普及しています。しかし、その耐久性はとても低く、家電製品の中で最初に
故障するのはリモコンだったりします。低コストのカーボンではなく、何か金属の
蒸着膜のようなもので、もっとしっかりした製品にしてもらえないものでしょうか。
|
|
|