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アンパンマンでるでるハンバーガー修理(2016.9.30)


守谷市おもちゃ病院での活動とは別に、守谷工房は「Toy Hospital」を
常設しております。WEBをご覧になった方から、おもちゃ修理の依頼が
あり宅配便で修理品が送られてきました。開けてみると修理依頼書
きちんと添えられており、故障の状況が丁寧に記入されていました。

 

神奈川にお住まいの方からのご依頼です。
往復の送料が嵩み心苦しいです。
 

セガトイズ製「アンパンマンでるでる
ハンバーガー」というおもちゃです。
 

動作を確認しようとしますが・・
遊び方が分かりません。


ネット動画を検索し、正しい
遊び方をしっかり勉強します。
 

配送中に商品ケース部が脱落しないよう
丁寧にテープで固定されています。
 

乾電池を確認します。新しい電池が
入れられており問題ありません。
 

操作しても商品ケースが回転せず、「ブー」と音が鳴り
商品も出てこないそうです。本体の分解に入ります。
 

底板部分を外します。乾電池ホルダーと
スピーカが取り付けられ、配線が延びています。
 

本体左側に商品ケース、その下にケースの駆動部、
右側に電力・制御用の電子回路が組み込まれています。
 

まず、動力部に不具合が見つかりました。センターシャフトを
上下させるアームの支持部品が浮き上がっています。
 

かなり大きな力が加わるようで、
固定ネジが外れかかっています。
 

いったんアーム部周りを分解し、
機構や実際の動作をよく確認します。
 

非常に強い部品で損傷はありません。固定ネジを受ける
基部の穴が広がったようです。ネジのサイズを変えます。
 

商品ケース部に取り付けられているセンサーに
問題がありそうです。取り外そうとすると・・
 

センサーへの配線長がぎりぎりで、電子回路
基板を外して配線を引き戻す必要があります。
 

本体右側のカウンター部全体を外さ
ないと基板にアクセスできません。
 

レジ引き出し下のプレートも外します。
底板はそのままで何とかなります。
 

商品ケースの頂上部にマイクロスイッチが組み込まれて
います。安全のため、蓋を被せないと回転しない構造です。
 

マイクロスイッチの取り付け基板が見えました。
紫色のコードがぎりぎりに配線されています。
 

固定ネジを緩めている途中、配線が2本とも切れてしまい
ました。ほとんど切れかかっていたものと思われます。
 

取り付け基盤をよく観察します。E・Fの部分に
コードが半田付けされているはずですが・・
 

E側のランド(銅箔)が捲り上がり、
一部は欠損しています。
 

ランドの修復は無理なので、半田付けの場所を変更する
ことにします。念のためマイクロスイッチも点検します。
 

押し加減によって導通しない部分が
あります。接点の劣化が進んでいます。
 

同形状の部品は入手困難なので
ケミカルで接点復活を試みます。
 

キャップ内側に基板を戻します。

 

蓋を被せた状態で再度導通を確認します。接点が無事復活
しています。いったん全体を組み立てて動作させてみます。
 

メニューを押すとモーターの回転音が聞こえシーケンスが
進行しているようです。しかし、商品ケースは回りません。
 

駆動部が正常に動作していま
せん。分解して原因を探ります。
 

精巧なメカニズムです。モータの回転方向により商品ケースの
回転とセンターシャフトの上下動が自動的に切り替わります。
 

切り替えを行っているのがこのピニオンカップリング。一方は
シャフトに固定され、他方はプラネタリとして周回します。
 

固定側のピニオンをよく見ると、滑り止めのシャフト突起が少し
はみ出ています。プラネタリに干渉して回転を阻害しています。
 

固定側ピニオンの位置を調整して
突起をピニオン内に収めます。
 

プラネタリ側がスムースに回転するようになりました。
これでモーターの回転が先まで伝達されるはずです。
 

再度、全体を組み立て動作確認するも、商品を落下
させるキャッチャーが動作したまま停止しません。
 

センターシャフト上下用アームを駆動するカムは
1回転ごとに突起でマイクロスイッチをONにします。
 

マイクロスイッチからの信号でキャッチャーは停止
するので、このスイッチの不具合が疑われます。
 

取り外してすぐに原因が分かりました。コードの
半田付けが、付いているようで・・取れています。
 

プラスチック部品の摩耗による劣化、ゴムベルトの伸びによる
スリップなど若干不安は残りますが、修理作業を終えました。
 

キーを右に4分の1回転させます。
電源スイッチになっています。
 

メニューボタンから商品を選びます。アンパンの声がして商品ケースが回転します。
回転ベース内の3個のマイクロスイッチにより、6種類の商品位置を特定し停止します
 

「サラダ」を注文したのでサラダのところで
商品ケースが正しく停止しています。
 

手前の取り出しボタンを押すと、モーターが逆回転しプラネタリの
反転動作によってキャッチャーの開閉動作に切り替わります。
 

キャッチャーが開いて商品が取り出し口に落下します。
その直後、上部キャッチャーが開いて商品を補充します。
 

全商品について正しく取り出されることを確認しました。しかし、
全体的な機構劣化により時折不安定な動作が残ります。
 

修理完了です。巧妙なメカニズムが組み込まれたおもちゃだけに、機構を十分に理解し慎重に
作業を進める必要があり、結果大変勉強になりました。ご依頼いただき有難うございました。

 
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