守谷おもちゃ病院入院扱いの修理品です。実は以前に私が一度修理したもので、
再び不具合が生じ持ち込まれてきました。十分な修理ができず、依頼者には大変
申し訳ございません。今回は不具合を徹底的に解決して、名誉挽回を図ります。
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赤い樹脂製の子供用おもちゃ感漂う、25鍵
ピアノです。「KAWAI」の名前があります。
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ところが底面の刻印を確認すると「KAWAI MUSICAL
INST・・ CO.LTD」、あのピアノメーカーのカワイ製です。
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正確には「河合楽器製作所」で、ピアノ販売世界2位の
老舗会社です。玩具部門があることを初めて知りました。
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前回の修理時と同じく、鍵盤を叩いても音が
出ません。多分同様の不具合だと思います。
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本体を逆さにして、底面側から上
カバーを固定しているネジを緩めます。
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上カバーが開くと、内部の音叉や
打鍵機構が見えてきます。
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各音階に対応した音叉が並びます。玩具にありがちな
金属板ではなく、アルミ(軽合金?)製の扁平パイプです。
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音叉を固定しているスポンジシートが粘着力を
失い、台座からばらばらと剝がれてきます。
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ピアノメーカーの製品らしく、おもちゃにも本格的な打鍵機構が取り入れられています。
ハンマーの先端はフェルトで覆われ、打鍵時に暴れないようダンパーを備えています。
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かなり年数を経過しているようで、スポンジシートの
劣化が進み、粘着力が低下し切っています。
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音叉側に残っているシートも
変色して所どころ切れています。
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今回はスポンジ製シートを交換します。
同等品が見当たらないので自製します。
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以前に購入したエアフィルター用
スポンジシートが使えそうです。
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表裏両側に粘着力を持たせるため
強力両面テープを利用します。
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スポンジシートの表面に先に
両面テープを貼り付けます。
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音叉と本体を接着固定するためシートの表裏両側に
貼り付けます。強く押さえつけて十分粘着させます。
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両面テープの剥離紙ごとカッター
ナイフで必要な幅に切断します。
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スポンジシートを直接切断すると、柔らかい
スポンジが引きずられて綺麗に切れません。
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両面テープの剥離紙が支えてくれるので
狭い幅でも綺麗に切断することができます。
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音叉を取り付ける前に、台座に
残っている古いシートを除去します。
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スクレーパを使用することで、粘着剤を
残すこともなく綺麗に除去できました。
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両面テープ状のスポンジシートが入手できていれば作業は簡単です。
また、接着剤を使用する方法は作業性が悪く仕上がりも劣るので避けます。
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下面の剥離紙をはがしながら
台座の上に貼り付けていきます。
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端まで貼り付けたところで
余分を切り落とします。
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前後2列分を貼り終えました。よく
押さえ付けて密着させておきます。
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いきなり接着するのではなく、いったん
仮置きして音叉の位置関係を確認します。
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実際に鍵盤を叩いて、ハンマーと音叉の当たり
具合を見ます。キンキンという澄んだ音がします。
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音叉の接着に備えて、
上面の剥離紙をはがします。
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音叉どうしの間隔を保ちながら慎重に台座上に載せます。
位置を微調整し上から強く押さえ付けて密着させます。
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あらためて鍵盤を叩くと、打音の直後にカタッという
衝突音がします。音叉を台座ごと外して点検します。
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打音後に鍵盤が下りてきて、直下の
ホルダ部に衝突する音のようです。
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鍵盤を取り去りホルダ部の状態を点検します。衝撃を
和らげるためスポンジシートが貼り付けられています。
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そのスポンジシートが変形して波打って
います。クッションの役を果たしていません。
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このスポンジシートも交換します。
先に古いシートを完全に除去します。
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片面のみ両面テープを貼り付けた
細長いシートを用意しました。
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ホルダ部のクッション材を
新しく交換し終えました。
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鍵盤を元通りの位置に戻します。
1組たりとも互換性がありません。
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音叉を元に戻して打音を確認します。金属板の音叉とは明らかに異なる
澄んだ音色です。また、音響特性を考慮し、台座には樹脂ではなく木材が
使用されています。さすがピアノメーカーKAWAIのこだわりでしょうか。
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