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レンタル会社から玩具修理の依頼(2021.7.17)

今年の初め頃、四国にある会社から連絡を頂戴しました。幼児向けに
おもちゃをレンタルする会社で、レンタルバックされたおもちゃの中で
破損・故障したものを修理してもらえないかとのご依頼でした。ネットで
検索してみると、おもちゃをレンタルする会社が日本中にいくつもあり
ます。工房の活動方針とも合致しそうなので、お手伝いしてみることに
しました。以来、定期的に修理品が送られてくるようになりました。

 

レンタル会社は同じおもちゃを一定期間ずつ複数の顧客に貸し出す
ことで経営が成り立つのでしょう。そうすると同じおもちゃを再レンタル
する際に、そのおもちゃが破損・故障していたり、汚れなどが残って
いてはいけません。再レンタルの度にメンテナンスが必要になります。

 

各社ともおそらく自社内でメンテナンスされているのではないかと
思われますが、十分に修理できないものは再レンタルすることが
できず、多分破棄処分となって会社の経営に貢献しません。

 

ご担当者のお話によると、一時は地元のおもちゃ病院に依頼していた
こともあったそうですが、あまりうまく行かなかった(要望に適う修理が
できなかった?)そうです。ボランティア的なサービスでは業務レベルの
要求との間に若干のギャップがあるのでしょうか(私見ですが・・)。

 

守谷工房のおもちゃ修理は原則無料ですが、レンタル品の修理に
関しては敢えて有償で対応させていただくことにしました。費用を
頂戴することにより、曲がりなりにも業務上の責任が発生します。
逆にもし修理できなかった場合、工房には何の利益もありません。

 

工房テクニカルパートナーの技術力を結集し修理作業に当たります。
元々おもちゃ修理の経験がある方が多いので、大概の故障・破損は
何とかなります。機能や性能を復活させるだけでなく、変形した部分を
整形し研磨により汚れを落とすなど、外観を新品状態に近づけます。

 
 
まれに手を尽くしてもどうしても修理できない場合、何とか修理できても
再レンタルに耐えない場合は、会社としても躊躇なく廃棄いただける
のではないでしょうか。組み込まれているLSIチップ(製品専用にカスタ
マイズされたLSI)の動作不良などは残念ながら復活は絶望的です。
 

工房が提供する修理技術レベルは、おもちゃの製造メーカーによる
レベル+αを目指しています。つまりメーカーが修理不能とする領域に
少しでも食い込みたいと考えています。目標を高く掲げることは重要です。
 

結果、たかがおもちゃの修理と言えど、その作業は真剣そのものです。
修理不能となれば、ご依頼元をがっかりさせ、どれだけ時間が費やさ
れても対価は得られず、そして自身の技術レベルに自信を失います。
 

ボランティア(無償)で、例えば地域の子供たちにおもちゃを修理して
あげることは素晴らしいことだと思います。謙虚さなくして続けられる
活動ではありません。しかし、(金額は別として)有償で活動することも、
自身の「知識」と「技能」と「経験」と「責任」・・が何のバッファもなく
問われる、よほどの謙虚さなくして続けられる仕事ではありません。
 

おもちゃレンタル会社の広がりを知り、おもちゃは買い与える時代から
借りる時代に変わりつつあるのか、と考え直さざるを得なくなりました。
子供の頃に買ってもらって、何故かお気に入りで、大きくなった今でも
大切に保管しているおもちゃ・・、といった懐古心が失われそうですが、
何とレンタル会社には気に入ったおもちゃを買い取ることもできる
サービスがとっくに用意されていました。凄いものです・・
 

言うまでもなく感染症対策には万全を期します。作業の前に使用する
用具類の消毒、作業の前後(おもちゃ1点ごと)に手指消毒、修理を
終えたおもちゃは全体をくまなくアルコールで清掃してから袋詰めし、
段ボール箱に梱包します。依頼元の会社でも修理品が返送されてきた
時点であらためて消毒されるそうです。幼児向けのおもちゃが多く子供が
口にする可能性もあり、コロナ以前にあらゆる雑菌対策が必要です。

 
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