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半田吸取機 戦列に加わる(2018.12.15)


専門的な電子回路製作業の方から思いがけず半田吸取機を頂戴しました。
既にお仕事から退かれたそうで、不要になったとはいえ大変貴重な装置をお譲り
いただきました。工房では「喉から手が出る」ほど欲しかったツール(兵器)です。



HAKKO社製のかなり古い型式の製品です。
経年劣化なのか、肝心の吸込みが弱っています。

 

コテのレバーを引くと電動機が回転し、
クランクがダイヤフラムを往復させます。
 

電動機は十分元気に動作しているので、
エアポンプが正常に機能していないのでしょう。

 
 
空気室の外側カバーを取り外します。吸込側と
吐出側のポートが一体成型されています。

 

経年によりカバーが張り付いて
います。ドライバの先でこじ開けます。

 

カバーが外れ、本体側に取り付けられているラバー製
ダイヤフラムが見えます。ほとんど劣化が見られません。

 

空気室側の内部を点検します。厳重な硬質ゴム
パッキンの内側に金属板がネジで固定されています。

 

吐出側のポートは出口部分が塞がれています。
空気は手前にあるスリットから吐き出されます。

 

小ネジを緩めると、出口部分を塞いで
いる樹脂製キャップが外れてきます。

 

その奥に円筒形のスポンジが
押し込まれています。引き出します。

 

吐出音を低減し排気を浄化するフィルター代わりで
しょう。飛び出さないようキャップが入れられています。

 

吸込み側にも小さなスポンジが
入れられています。取り出します。

 

ネジ止めされた金属板の内部にポンプ機構が組み込まれているよう
です。表面に開けられている2個の穴は、空気の吸込口と吐出口です。

 

ダイヤフラム面と衝突しないよう、頭が飛び
出さない皿ネジが打ち込まれています。

 

ネジ溝の周りに何かヤニのような
ものがまとわり付いています。

 

外れてくるはずの金属板が強固に張り付いて
います。隙間にドライバーの先を入れてこじります。

 

接着剤で張り合わされていたかのように密着していま
した。ようやく外れてくると・・、何か不気味な雰囲気です。

 

金属板の裏側です、これは一体何なのでしょうか。劣化が進んで固化した
松ヤニのようなものが張り付いています。が、ここにペースト状の油脂など
使用されるはずがありません。また、ネジ穴や吸込・吐出口を避けています。

 

吐出口側には、ほとんど形状を留めていない
ものの、弁のような張り出しが残っています。

 

吸込口側には、金属板に小さな栓のような部品が残って
います。これらの部品で空気を出し入れさせるようです。

 

半透明で琥珀のような色に変化した元の材料は・・?
分からないまま、全てカッターナイフで削り落とします。

 

パッキンや弁として機能させるなら、普通ラバーシートが
使われるはずです。しかしこの変質ぶりは不可解です。

 

逆に、ここはラバーシートで間違いなく補修することが出来ます。金属板の
直径や開けられている穴の位置を正確に計測し、CADに入力します。

 

レザーカッターで1mm厚ラバーシートから
パッキンを切り出します。猛烈に煤が出ます。

 

円形に切り出したを瞬間接着剤で取り付け
ます。吐出口の周囲を避けて接着剤を入れます。

 

空気が排出される際、吐出口の周囲が持ち
上がります。吸入時は負圧により密着しています。

 

吸込口の弁を取り付けます。弁が当たる
面を、突起がないよう研磨しておきます。

 

吸込口の穴の周りを避け、少し
離れたところに接着剤を置きます。

 

ラバーシートを円形に切り出した弁を張り付け
ます。吸入時は空気の負圧により弁が開きます。

 

排出時は正圧により閉じているので、
結果ポンプとして機能します。

 

パッキンを取り付けます。固定ネジが通るので
位置決めの必要がなく、重ねるだけにします。

 

ラバーシートを円形に加工した弁が、いかにしなやかに動作するかで
ポンプの性能(平均負圧)が決まります。十分に吸い込まない場合は、
薄いラバーシートで、より軽く動作する弁を作り直すことにします。

 

皿ネジをしっかり締め込みます。耕運機キャブレターの
ダイヤフラム用ラバーシートを・・、今頃思い出しました。

 

それはまたの機会に活用するとして、
ポンプを元通りに組み上げます。

 

電源を入れ、ポンプを作動させてみます。
指先の吸い込まれ方が、まるで違います

 

半田ごての接続ケーブル(コネクタ部)です。
根元の保護ブーツが破れているので補修します。

 

外装カバーは元は昭和を彷彿とさせる茶色でした。
全体に軽くペーパーをかけ、艶消し黒で再塗装します。

 

固定ネジにも錆が回り古めかしさが
漂うので、ネジの頭を研磨します。

 

かなり見栄えが違ってきました。ポンプ機構が劣化し、吸引性能が失われていた
「半田吸取機」の復活です。修理・修復作業の多い工房の戦列に加わります。

 

半田ごてのレバーを引くとポンプが力強く作動します。負圧が高まって
いるので、ダンピングの効いた唸るような音が聞こえてきます。

 

実際に使用してみます。このようなIC類は
最も取り外しが面倒なパーツです。

 

端子の数が多く、しかも全端子の半田を
除去するまでパーツが外れてきません。

 

コテ先端の中心に空気を吸い込む穴が空いています。
パーツの端子を穴に入れたまま少し加熱します。

 

半田が溶けると同時にレバーを引いて吸引します。
溶けた半田が吸い取られ、端子周りが綺麗になります。

 

並んでいる端子を片端から吸い取っていき
ます。片手で作業できるので非常に便利です。

 

基板製作時にパーツを挿入した時の感覚です。
上手くするとパーツが自分で落下します。

 

パーツを取り外した後のランドです。基板製作時のパーツを挿入する前のような
状態です。穴の内側にも半田は残っていません。取り外したパーツが再利用できる
可能性も大きく向上しそうです。本機をお譲り下さった方にあらためてお礼申し上げます。

 

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