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パナソニック製プラズマテレビ修理 part1(2016.10.30)



パナソニック製プラズマテレビの故障です。商品分類で薄型テレビは液晶テレビを
意味しており、まだ店頭に在庫はあるもののプラズマは絶滅した感があります。
以前にも画面が映らなくなったことがあり、修理で基板を交換しているそうです。
 

パナソニックブランドとして現在も
続いているVIERA(ビエラ)です。
 

工房に運び入れて各部を点検します。修理可能か
否か(手に負えるか)を判断せねばなりません。
 

TH-P37X1型です。37インチの液晶
パネル、Pがプラズマ方式を示しています。


もちろん既に生産終了、この機種は
店頭在庫も見当たりません。
 

まずスタンドを取り外します。安定性を確保する
ため強固かつ簡便な方法で固定されています。
 

M6のネジ4本を緩めると
スタンド部は簡単に抜けます。
 

パネルと同サイズ(37インチ)、大きな背面
カバーです。15本ものネジで固定されています。
 

背面カバーが外れ内部が露出しました。デジタル
家電に共通する意外とシンプルな構成です。
 

電源コードとアンテナ線を接続して
故障の状況を確認します。
 
 
本体を床に立てた状態で
電源スイッチを入れてみます。
 

スイッチを押し込むと(ON)、すぐ
横のLEDが緑色に点灯します。
 
 
少し待つと緑色の点灯は赤色の点滅に変わります。
7回点滅して3~4秒消灯し、再び点滅を繰り返します。
 

パナソニックのWEB(サポート)には、ユーザーが
自身でできる故障診断のページがあります。
 


赤色LEDの点滅は簡易的なダイアグノーシス
(故障診断)で、点滅回数7を調べてみます。
 

「本体内部の異常を検知しました」、「修理目安金額」が3万1千円~2万5千円、「場合により
パネル交換」となれば、さらに数万円かかるでしょう。同サイズ薄型テレビを2台購入できます。
 

価格.comの同製品口コミ情報に
エラーに関する書き込みがあります。
 

こちらのサイトにもエラー表示に関する情報があり
ます。点滅7回は、電源系統の故障のようです
 

手始めに、電源基板を調べてみます。
本体内部の中央に組み込まれています。
 

いくつかのトランスと大きめのコンデンサー、
チョークコイルなどがあり、電源回路の風貌です。
 

手前に見える大小のダイオード
周りの様子に違和感を覚えます。
 

パーツの周りに薬品の反応跡の
ような汚れがまとわりついています。
 

電源基板を取り外して点検します。
まずコネクタ類を全て抜きます。
 

8本のネジを緩めます。作業していると
指先に粉のようなものが付いてきます。
 

白っぽい粉状の汚れは部品や基板全面に
付着しています。水道水に含まれるカルキです。
 

テレビを設置している室内は冬の
期間、加湿器を常用しています。
 

基板の裏面を点検します。電子回路故障の
多くが半田付けやランドの劣化が原因です。
 

カルキが集積するほどの多湿状態なので、
そのような単純トラブルの可能性が大です。
 

カルキや埃を取り除くと部品の
状態を確認しやすくなります。
 

先ほどのダイオードの周りです。極端な多湿に
よるものでしょう、半田の腐食が進行しています。
 

部品のリード線まで腐食が進行している
かも知れません。半田を吸い取ります。
 

あるいは部品自体の劣化も考えられ
ます。ダイオードを取り外しました。
 

回路計で順方向・逆方向の抵抗値を
調べます。このダイオードは正常です。
 

汚れを落とした基板裏面を調べます。半田の腐食に加えて、
レジスト(銅箔保護剤)の剥離、銅箔の腐食も見られます。
 

応急処置ですが、露出した銅箔面に
半田を流して回路を補修します。
 

腐食が進行している半田面も
同様に簡易処置します。
 

他の基板にも同様の損傷が生じている
可能性があります。もう1・2枚調べてみます。
 

チューナーおよび信号処理系の基板を取り
外します。金属板によりシールドされています。
 

金属製シールド板の下にチューナーユニットと
信号処理系の基板が収められています。
 

接続されているケーブルを
コネクタごと引き抜きます。
 

ステーごと基板を取り外します。下の細長い基板は
パネルをドライブする高電圧回路だろうと思います。
 

ポリミイドフィルムによる配線とコネクタです。
接続端子のピッチが広く取られています。
 

基板が外れてきました。一面
カルキで白っぽく粉まみれです。
 

裏面もまたカルキの集積で
レジストの緑色が変色して見えます。
 

高電圧対応のためでしょうか、広く取られたパターンの
縁部分に、スパークした痕のような腐食があります。
 

少々乱暴ですが、ワイヤーブラシを
使ってカルキや腐食を一挙に落とします。
 

決め手に欠いた状態であちこち疑わしい個所を補修してきました。ここで再度
動作確認をしてみますが、エラーの状況(LED点滅)に変化はありません。
ただし、点滅回数が7回から6回に変わりました。補修によるものだと思います。

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