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パナソニック製プラズマテレビ修理 part2(2016.10.30)


ぱっと見て分かる半田付けやランドの劣化であれば、実はほとんど誰でも修理できます(ただし、
その簡単な修理をメーカーは絶対にやりません)。ダメモト守谷工房のレベルは所詮この程度なの
でしょうか。ひと通り疑わしい個所を補修した時点で、プラズマテレビはまだ復活していません。
 

とあるWEBサイトに、パナソニック製プラズマテレビのLED点滅によるエラー表示内容一覧が
掲載されているのを見つけました(別途、表にまとめ直したものです)。6回の点滅となったので、
「SCモジュールの異常検出 A-SC間FFC接続異常」を表示しており、対象部品は「SC/SN
/SS/Pモジュール」と、パネルも含めてほとんど全ての基板に不具合の可能性があります。
 

ふとアイデアが浮かびました。大きな施設にあるテレビ
ですから、同じ製品が複数台購入されていないかと・・
 

朗報です、ありました。故障したテレビを依頼元に
運び込み、同型テレビの横で分解します。
 

同時期に購入された同型の
パナソニック製プラズマテレビです。


背面を確認します。パナソニック
TH-P37X1に間違いありません。
 

念のため正常に動作するか確認します。この正常な
テレビをドナーにして故障個所を割り出すのです。
 

疑わしい基板を一つずつ交換すれば、不具合のある基板を
見つけることができます。移植手術のようなものです。
 

まず電源基板を試してみます。
ドナー側の基板を取り外します。
 

同型機なのでケーブルの配置や
コネクタも完全に同一です。
 

ドナー側の電源基板を取り出し
ます。やはりカルキまみれです。
 

故障側の電源基板を取り外します。万一にも両者を
取り違えないよう、「故障側」と記入しておきます。
 

ドナー側(正常な方)の基板を
故障側の本体に組み込みます。
 

アース配線の影響を考えて全てのネジを
締め付け、ケーブルを正しく接続します。
 

電源コードを接続し動作確認に入ります。
前面の電源スイッチをONにします。
 


LEDが緑色点灯から赤色の点滅に変わります。
同じく6回の点滅です。電源基板ではありません。
 

次にチューナー部と反対側に取り付けられているSC
モジュール(スキャンドライブ基板)を移植してみます。
 

ドナー側のSCモジュールを取り外します。
全6か所のコネクタが取り付けられています。

 

隣接しているSMモジュール(スキャン出力基板)と
3個の特殊なジャンパー配線で接続されています。
 

チューナー部からの映像信号が送られるフラット
ケーブルです。破損しないよう慎重に脱着します。
 

ドナー側からSCモジュールを取り出します。
パワートランジスタと放熱器が並んでいます。
 

故障側からSCモジュールを取り外します。
やはり間違えないように「故障側」と明記します。
 

SCモジュールの移植が終わりました。
電源を入れて再度動作確認を行います。
 

LEDが緑色の表示のままです。
赤色の点滅が起こりません。
 

アンテナケーブルを接続してみます。
取りあえず地上デジタル波を接続。
 

映像が正常に表示されています。音声も問題ありません。
不具合の原因が特定できました。SCモジュールです。
 

一般的に製造メーカーは補修部品を単体では
販売しません。パナソニックも例外ではありません。
 

しかし、ごく少数ですが、大手家電メーカーの補修
部品を取り寄せてくれる親切な電気店があります。
 

注文した翌日に工房に届きました。パナソニックの
方針で、交換後の故障基板は返送することになります。
 

再び工房内での作業です。新しい
SCモジュールを組み込みます。
 

故障した基板を取り外した後に
新しい基板を取り付けます。
 

隣のSMモジュールと相互に固定する
ネジが4本あります。しっかり締め込みます。
 

コネクタを元に戻します。これは
電源系のケーブルです。
 

抜き差しを数回繰り返して、接点に
付着したカルキの影響を排除します。
 

SC・SMモジュールを相互に接続するジャンパーは、SC
モジュールに付いているので再利用の必要はありません。
 

電源コードを差し込み、再度
動作確認を行います。
 

電源スイッチを入れます。作業ミスや見落としが
なければ、問題なく動作するはずです。
 

LEDが緑色に点灯しています。
赤色のエラー表示は出ません。
 

アンテナケーブルを接続していないので映像や音声は出ま
せんが、受信チャンネルや映像モードが表示されています。
 

背面カバーを取り付け、各部を簡単にクリーニング
します。スタンドは外したままで納品に出かけます。
 

ご依頼元に到着しました。カートに
載せて設置場所まで運び込みます。
 

現場にてスタンドを取り付けます。原因究明に
時間がかかりご迷惑をおかけしました。
 

正常に放送を受信しています。プラズマ
テレビの画面は何となく温かみを感じます。
 

故障診断に3万1千円~2万5千円と出ていましたが余りに高額です。パネル
交換でさらに数万円など現実的ではありません。極端な低価格を強いられる
新品販売だけではなく、維持や修理にも競争原理を働かせて欲しいものです。

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