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小型冷蔵庫の修理お掃除(2024.2.10)


小型の冷蔵庫が冷えないので修理を依頼されました。
45Lほどの容量で、手の届くところに置くことができ
便利です。直らなければ廃棄してよろしいそうです。
 

以前に点検に伺った際は問題なく動作していたの
ですが、その後再び調子が悪くなったとのことです。

 

工房に運び込み点検し直します。
電源コードをコンセントに接続します。
 

簡単なもので操作スイッチはこれだけです。
電源ON・OFFと温度調整を兼ねています。

 

「切」の位置から目盛り2あたりまでツマミを回すと電源が
入ります。コンプレッサーが作動する振動で分かります。
 

しばらくすると放熱器(吸熱器?)が冷えてきます。
コンプレッサーや冷媒の循環は正常です。
 

しかし、ツマミをもう少し回していくとコンプレッサーが
停止します。サーモスタット内蔵スイッチの不具合です。
 

サーモスタット内の電極に接触不良が
あることが容易に想像できます。
 

サーモスタット内蔵スイッチを
取り出して修復することにします。
 

ドアを開けた状態でも作業は可能ですが
面倒なのでヒンジごと外すことにします。
 

上側のヒンジを外す
だけ、簡単です。
 

サーモスタットの修理もさることながら、長年使われてきて
纏わりついた汚れが半端ではありません。掃除のことを
考えると、先にドアを外しておいた方が何かと楽です。
 

ドアに邪魔されることがないので
サーモスタットへのアクセスが楽です。
 

サーモスタットを内蔵するケースが
右側壁面にネジで固定されています。
 

上下2か所のネジを緩めます。奥まって
いるので柄の短いドライバーを使用します。
 

樹脂製のケースごと
外れてきます。
 

中にサーモスタットが組み込まれ、そこから配線と
細長い金属管(キャピラリーチューブ)が出ています。
 

温度調整シャフトに差し込まれて
いるツマミを引き抜きます。
 

サーモスタットの手前に金属製
プレートがネジ止めされています。
 

ケース内に保持させるための補助
部品です。取りあえず外します。
 

大元のON・OFFに加え、設定温度によりコンプレッサーの
電源を断続するだけの部品です。あらためて回路計を当てて
内部接点の導通・非導通を調べます。やはり、最初はいったん
ONになるものの、ツマミを回していくと途中で突然切れます。
 

完全に取り外して点検するには、奥に延びる
キャピラリーチューブを解除しなければなりません。
 

吸熱器の一部が突起状に加工され、
そこにチューブの先が固定されています。
 

突起を少し広げると
チューブが外れます。

 

サーモスイッチの端子から
2本の配線を引き抜きます。
 

液体膨張式のサーモスタットです。キャピラリーチューブ内に
封入された液体が、熱膨張・収縮することで設定温度に
従って電気接点を断続します。熱膨張係数の高い液体が
封入されているそうで、工業用には水銀やNaK(ナトリウム
カリウム)液が使用されますが、もちろん家庭用冷蔵庫には
そのような物騒な材料は採用されていないでしょう

 

シャフトの対面にあるツメを解除すると、キャピラリー
チューブが接続されるベローズ部が外れてきます。
 

ベローズの伸縮が簡単なリンクを経由
して、上部の電気接点を動作させます。
 

ベローズ部と一緒に電気接点部も外れます。
スナップアクション用の可動バネが見えます。

 

可動バネに開いた四角穴にリンクの先が
入り込み、可動バネを上下させます。
 

可動バネの対極となる接点を、
固定金具と共に引き抜きます。

 

可動バネ側の接点表面を
綺麗に研磨します。
 

固定金具側の接点表面も同じように綺麗にします。
カーボン蓄積などによる接点の汚れが、おそらく
不具合の原因であると(現時点では)思われます。

 

しかし可動バネや電気接点は、設定温度に対する
動作が精密に調整されているので、下手に触ると・・
 

まるで動作が狂ってしまう可能性があります。
それは組み上げてから確認するしかありません。
 

さて、意を決して汚れ放題の
本体内外を掃除することにします。
 

依頼されているのは冷蔵庫の修理なので
お掃除は作業の範囲外ではありますが。
 

汚れの中でも深刻なのはカビの付着・集積
です。健康に害をもたらす可能性があります。

 

黒い筋のような汚れは長年カビが蓄積した跡です。
洗剤に加えアルコールを併用して完全に落とします。
 

背面に回るとコンプレッサーを
設置する開口部が見えます。
 

コンプレッサーが吐き出す熱のせいで、
カビこそないものの埃がすごいことに。

 

掃除機で埃を吸い取ります。キッチンの雰囲気に
含まれる油分のため、簡単には落ちません。
 

延々と吸い取り続け
何とかこの状態に。
 

冷蔵庫内部をもう一度清掃します。右上の
吸熱器表面がまだ黄色く変色したままです。
 

その表面も真っ白で清潔な状態に。冷蔵庫は
雑菌の培地になりかねず注意が必要です。
 

取り外しておいたドアを掃除します。ドア
下部の凄まじいカビには言葉が出ません。

 

面倒なのでシンクで水洗いです。
擦り傷を覚悟でクレンザーを併用します。

 

上下のモール際まで完全に汚れをします。
これで、いわゆる「白物家電」に復帰です。
 

横に倒した状態で、本体
底面も清掃します。
 

2対8くらいの割合でほとんどお掃除に労力を投入したところで、
既に修理を終えたはずのサーモスタットが、やはり正常に動作
しません。ツマミを回すと途中で切れてしまうのではなく、「切」の
位置でも電源が入りっぱなしです。諦めて部品交換することに。

 

30年ほど前の冷蔵庫ですが、この通り全く同規格の
サーモスタットが今も手に入ります。しかもアマゾンで。
 

キャピラリーチューブが小さくまとめられている
ので、強く折り曲げないよう丁寧に伸ばします。
 

サーモスタット固定用の
金属プレートを移植します。

 

元のキャピラリーチューブを通していた
保護用ビニルチューブを引き抜きます。
 

特に傷んでいるわけでもないので再利用し、
新しいキャピラリーチューブを通します。

 

サーモスタットを
ケースに収めます。
 

キャピラリーチューブを注意深くケース内に引き込み
ます。強く曲げると封入液の膨張・収縮を妨げます。

 

ツマミを取り付けると
完全に元と同じ状態です。
 

配線を接続し庫内の右側壁面
上部にケースを取り付けます。

 

ツマミを回してみます。まだ封入液が常温なので最低
温度(目盛り6)でもコンプレッサーが回ったままです。
 

冷媒が循環する「シュー」という音が聞こえ、吸熱器の表面が
冷たくなってきました。次は、ドアを閉めてしばらく待ち、庫内が
十分に冷えたところでサーモスタットが正常に切れるかです。
設定温度を色々と変えながら、何度も動作を確認します。

 

カビを含みひどく汚れていましたが、逆に深い
傷や塗装の剥がれなどはほとんどありません。

 

長年の間に塗装面がくすんでしまっている
ので、ポリッシャーで研磨してみます。
 

自動車塗装面仕上げ用のコンパウンドを使い、ダブルアクション方式の
電動ポリッシャーで左右側面と上面、ドア表面を磨き上げます。樹脂製
グリル部品の退色だけはどうにもなりませんが、全体が輝きを取り戻し
ます。綺麗になっただけではなく、清潔になった冷蔵庫をお返しします。

 
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