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ターボファンエンジン
(改良後のデルタ型3Dプリンタによる再製作)
デルタ型3Dプリンタに様々な改良を加えてきました。
サンプルの出力である程度その効果を確認できましたが、本来の製作品出力ではどのような成果が期待できるのでしょうか。
デルタ型導入当初に試みた「
ターボファンエンジンの模型
」をリメイクしてみます。
予想以上に出力品質の向上が見られ、改良の成果が確認できると共に、問題の原因と解決方法が分かってきました。
解決方法の大部分は比較的容易に対処できる範囲内にあり、低価格機ゆえの致命的で対応不可能な問題ではありません。
高性能機にスライドベアリングやマグネットボールが用いられる理由も納得できます。
様々な改良を加えたデルタ型3Dプリンタ。Z軸キャリッジの
樹脂ベアリングシャフトの外側をスプリングで連結したことで、
キャリッジ固定のガタが低減し上下移動が滑らかになりました。
また、ホットエンド冷却用ファンに専用シュラウドを取り付け、
ホットエンドの熱特性を改善しました。フィラメントエクストルーダの
アームを改良して強力なスプリングでフィラメントを押さえつける
ようにしました。詳細は「
デルタ型3Dプリンタの改良
」を参照下さい。
改良を施したデルタ型3Dプリンタにてリメイクしたターボファンエンジンの
カットモデル。メインファンのシュラウドを全周にわたって取り付け、
アクリル板を使ってディスプレイスタンドを作り直しました。
・3Dプリンタ改良前後での出力結果の比較
最初に出力したターボファンエンジンのコンプレッサー部。
各所にフィラメントの射出・充填不足が目立ちます。
改良後デルタ型による同部分の出力結果です。
ブレード間のバレル部(円筒形)の表面が滑らかです。
リアベアリングの外周に隙(巣)が多く見られます。
エキゾースト・最終段コンプレッサのブレードの成形不良。
同部分の比較です。リアベアリングは全周にわたり綺麗に
出力され、ブレードの1枚1枚が正確に再現されています。
湾曲したメインファンブレードの頂上部分にフィラメントの
充填不足が目立ち、ブレード表面が荒れた感じです。
不利なフィラメント射出角度ですが、アセトン処理とプラサフ
吹き付けを加え、ブレードの断面形状が正確に出ています。
最初に3Dプリンタの出力を得た時は、高い表現力に驚いたものです。
しかし、ブレードやケーシング断面を見ると成形が雑で輪郭が曖昧です。
各部の改良により成形品質がかなり改善されました。フィラメントの積層精度が
向上したため、エキゾーストタービンのブレード間など正確に再現されています。
最終段タービンのブレードに成形不良やヒゲ
(フィラメントが糸を引いた跡)が残っていました。
ヒゲはほとんど見られません。リアコーンは回転用
ハンドルを取り止めて本来のコーンに変更しました。
・リメイク版完成状態
メインファンシュラウドに加えてコンプレッサシェル
(カバー)も全周分(上側の半分)を取り付けました。
上側のコンプレッサシェルはこのように着脱が可能で、
取り外して内部を観察することができます。
エアインテイク用メインファンに続き、前3段、後2段の
コンプレッサ構成、ステータはスケール上略しています。
各コンプレッサのブレード構成およびエアフローの
仕組みが非常に分かりやすい(説明が容易)です。
大口径のシュラウドから外気を取り込み、その大部分が
ナセルとシェルの間を通過してエンジン騒音を低減させます。
大型航空機を上空へ舞い上がらせる巨大な
推力の発生メカニズムをシンプルに示しています。
メインファンおよびコンプレッサ群は1本のシャフトで
連結されており、自由に回転させることができます。
このように手で実際に回転させてみることで
ターボファンエンジンの理解を促します。
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