7.間口枠のリサイズ |

建屋側間口に取り付けるフレーム
(間口枠)のリサイズ作業に入ります。
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4隅でネジ固定されていますが、組み付けの
仕口が複雑で再現できそうにありません。
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側柱端を切り詰めるのではなく、
途中を一部切ってリサイズします。
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蝶番の内側寄りを切り取れば、
蝶番位置を変更する必要がありません。
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切り落とす長さはもちろん62mmです。ただし、
高速切断砥石による切り代を含む長さです。
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上下に分割されてしまった間口枠です。
何らかの方法で連結しなければなりません。
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上下に分かれた枠を密着させた状態で長さを確認
します。実測した建屋間口の高さ1943mm、丁度です。
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高速切断砥石で切断した断面
です。物凄いバリが出ています。
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ヤスリを使い手作業で
丹念に取り除きます。
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バリを残すと、連結させる際に
精度を低下させ長さが狂います。
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断面形状が閉じている部分の
内側寸法を正確に測定します。
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角材を加工して内側寸法通りの
断面形状を持つ連結材を作ります。
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この連結材をサッシ内に打ち込んで、
上下に分かれた枠を連結させます。
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サッシの内側寸法よりも微妙に
大き目に切り出してあります。
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連結材の材料端を予め「木殺し」して
おき、木槌で叩き込んでいきます。
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半分の長さまで叩き込んだところで
連結材の固定方法を考えます。
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ポンチを打ち、ドリルで
ネジ穴を開けておきます。
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木ネジを2本打って固定することで、
連結材は抜けてこなくなります。
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残っている枠を嵌め込みます。
材料端を木殺ししておきます。
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側柱枠を交互に少しずつ叩き、
左右同時に入れていきます。
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力の要る最終段階は、掛けやを
持ち出して力づくで叩き込みます。
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切断部分の塗装が剥げて、連結部にアルミ色の線が出てい
ます。後でサインペン等で塗り潰せば目立たなくなるでしょう。
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8.ドアノブの再塗装 |

先に取り外しておいたドアノブです。
塗装が剥げ落ち傷が目立っています。
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ドアを開閉するたびに目に付く
ので、再塗装して綺麗にします。
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表面を軽く研磨し先にプラサフを吹き
ます。塗料の食い付きが向上します。
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2・3回吹き重ねると、表面の
荒れはほとんど目立たなくなります。
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自動車塗装用のスプレー缶で上塗り
します。塗装色はシルバーメタリック。
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2重ロックが装着されているところ、
補助側のシリンダーを取り付けます。
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続けてメインのシリンダーも取り付けます。
アーマープレートは既に手入れされています。
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再塗装されたドアノブを取り付けます。
ほぼ新品の状態でとても綺麗です。
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9.メッシュ障子のリサイズ |

リサイズの作業も最終段階です。
外側に被せる網戸枠もリサイズします。
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普通の網戸と同じように、周囲の溝に
押さえゴムと共に押し込まれています。
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4隅で枠を組み付けているネジの
うち、上側左右の2本を緩めます。
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押さえゴムを引き出します。非常にきつく入って
おり、手作業によるものではないようです。
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リサイズする範囲内で網を捲れば
良いので、この程度にしておきます。
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木槌で框材を軽く叩き、
少しずつ抜いていきます。
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最初の桟辺りで切断することになるでしょう。
多少誤差があっても建付けに影響しません。
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組み付け部分の仕口がやや複雑な形状をして
います。上手く再現しないと框材が噛み合いません。
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仕口の再現手順を考えている最中に気付きました。網戸枠のフックが掛かる障子枠側の溝は、
溝位置の外側をリサイズしているので、その位置に変更がありません。網戸枠の上部が何かに
干渉しないのであれば、そのままで良いのです。急遽、リサイズを取り止めることにしました。
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10.現地搬入・取り付け |

試行錯誤しながらもようやく工房内でのリサイズを終え、現場据え付け作業に臨みます。
ドア丸ごとは乗用車内に積み込めないので、先に間口枠を搬入し取り付けてしまいます。
間口枠が問題なく取り付けられれば、開閉部は蝶番を掛けるだけなので完成同様です。
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現場に乗り込んでいきなり大問題に直面しました。既存の間口枠が何としても
取り外すことができません。木ネジ固定以外に接着剤・シール剤等が併用されて
いるようで、無理をすると建物の構造材を損傷しかねません。ところが、リサイズした
間口枠を実際に当ててみると、既存間口枠の表側寸法にほぼ合致しているのです。
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土壇場で計画を変更し、既存間口枠を残したまま、リサイズした間口枠を取り付けることに
しました。上下方向で約20mm、左右方向で5mmの隙間が生じますが、スペーサを
入れることで十分対処できます(このあたりの経緯、写真を撮るどころではありません)。
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化粧回しにしようと用意していた角材が、運良く
上下方向の隙間を埋めるのに丁度の寸法です。
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既存間口枠にリサイズした間口枠が嵌まり込んでいます。
隙間に5mm厚の板材を挟み、木ネジで固定します。
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化粧回しの板厚が変更になったため、隙間を充填する
板材を別途用意し、木ネジにより一体として固定します。
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間口枠の取り付けを終えてしまえば、
開閉部は蝶番を掛けるだけです。
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重量のある開閉部(外枠+障子枠+ガラス戸)は、現地でご依頼主から
軽トラをお借りし工房まで往復しました。その際に、新たに必要となった
スペーサ用の材料、忘れてきた一部工具を調達することができました。
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化粧回しと建物壁面との境界に防水シールを施します。
特に上下方向の隙間を閉じた周囲は入念に入れます。
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取り外しておいたクローザーを元に
戻し、開き止まり位置を調整します。
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既存のドアを取り外し、リサイズした間口枠の取り付け作業に入ると、もはや
後戻りすることができず、ドアが付かないままで作業を中断するわけには
行きません。ご依頼主に大変な迷惑がかかります。既存の間口枠が
外れない問題を、何とかその場で解決できて胸を撫で下ろしています。
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以前の化粧合板製のドアに比べ、格段に美しく高級感があり、しかも
ガラス戸がスライドして換気機能が加わります。当初の計画よりも
外側に飛び出ているのですが、外観的に不自然な印象もありません。
*写真をクリックすると付け替え前の写真をご覧いただけます。
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