BOSE製品の修理が止まりません。先日のPLS-1410に続き同じくコンポの
レシーバーが、今回は工房に配送されてきました。1410同様にイジェクト操作を
してもCDトレイが微動だにせず、結果CDを全く再生できないそうです。1410に
引けを取らない重厚で風格のある1台です。重量7.1kg、とにかく重たいです。
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前面パネルは1410とほぼ同じ構成です。
CDのイジェクトボタンが見当たりません。
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型番は「PLS-1310」、薄いヘアラインが
施されたパネル面に控え目に刻印されています。
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前面パネルのシンプルさに比べ、背面パネルには
妥協がありません。入出力端子が溢れています。
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「サービスマン以外は外さないで・・」と注意が
ありますが、「サービスマン」では分かりません。
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本体を横に立て、底面側から分解を
進めます。厚い銅板製のシャシーです。
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両側から上面にかけて豪華なメープル調銘木板が
あしらわれ、格別の高級感を漂わせています。
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前回と異なり銘木板だけが
外れる構造ではないようです。
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金属製のカバーと一体構造です。固定ネジを
緩めると、後方にスライドして外れます。
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PLS1410の5年前1996年に発売されています。内部の基板構成やレイアウトが
1410とかなり異なっています。2枚の基板間を直接接続するコネクタ類は見当たり
ません。パワー段は同じ右側面に配置されており、放熱器が華奢な印象です。
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2枚の基板が手前と奥に平面的に分離して
取り付けられています。奥側から取り外します。
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背面パネルに出る端子の一部は
基板に直接取り付けられています。
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金属板でシールドされたチュ-ナーモジュールが基板上に
あり、アンテナ端子が直接背面パネルに突き出ます。
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手前側の基板を外します。
数本の固定ネジを緩めます。
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電源ユニットからの
ケーブルを外します。
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音量調節用の重厚なツマミを引き抜きます。
背後からドライバで押し出す必要があります。
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樹脂製ですが側面のメープル調
銘木板と色柄が揃っています。
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音量調節器(ポテンショメーター)の
シャフト根元の固定ナットを緩めます。
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2枚の基板を取り外すとようやく
CDデッキ部にアクセスできます。
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CDデッキ部の固定方法(ネジの位置)を
全て見つけ出さなければなりません。
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部品や配線の陰に、別部品の
固定も兼ねて打ち込まれています。
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CDデッキ本体を貫通する穴をくぐり
固定されているネジもあります。
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基板固定用のスペーサーが、CD
デッキを引き出す時の邪魔になります。
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前もってCDトレイのフロントベゼルを外して
おかないと、パネルの開口部を通りません。
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トレイが出ない不具合なので、とにかくCD
デッキ部に到達しないことには始まりません。
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ようやく分離したデッキ部を裏返し、
接続されているケーブル類を抜きます。
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PLS-1410と異なり、CDデッキ部の上側が金属製カバーで覆われて
います。上に載る基板を支える以外に、シールドの役割もあるのでしょうか。
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3面を覆った底面側で
ネジ固定されています。
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ピックアップユニットが一風
変わった方法で実装されています。
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底面側に取り付けられている
制御基板を取り外します。
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ピックアップユニットに含まれるスピンドル回転用と、
トレイローディング用の2個のモーターが見えます。
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トレイが閉じてピックアップがCD盤面に
接近したまま故障状態にあったようです。
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ピックアップユニットが読み取り位置にあるため、
トレイもどこかでロックされ動かしようがありません。
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あれこれ(壊さない程度に)いじり回し
試行錯誤の末、解除方法を見つけました。
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このツマミをスライドさせると、ピックアップ
ユニットが写真手前側を支点に揺動します。
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デッキ部を取り出した直後の状態です。ピック
アップユニットはCD読み取り位置にあります。
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ツマミをスライドさせると、ピックアップユニット
全体が傾いてCD盤面から離れます。
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同時にトレイの開閉ロックが解除され、トレイを引き出すことができる
ようになります。機構を構成する各部品には特に損傷や変形はありません。
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下に突き出ているツメがトレイの脱落を防止
しています。ドライバーの先で解除します。
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トレイをデッキから引き抜きます。
ローディングできない原因を探ります。
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ローディング用モーターとトレイを開閉させる
機構です。薄い樹脂製カバーで覆われています。
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前回1410と同じくゴムベルトの劣化を点検します。
2年前に修理されたそうで、まだしっかりしています。
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ゴムベルトが原因でないとすると厄介な修理になりそう
です・・が、ベルトを駆動するプーリーが固くて回りません。
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ローディング用のモーターを点検する
必要があります。プーリーを抜きます。
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固定ツメを解除しモーターを
反対側に押し出します。
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直流3~5Vを加えてみますが全く回転
しません。シャフトが固着しています。
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モーターの内部に潤滑剤を吹き込み、
高圧エアで飛ばす作業を繰り返します。
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ペンチでシャフトを少しずつ回転させ固着を
取り除きます。間もなく自転し始めます。
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モーターを戻しプーリーやベルトを取り付け
動かしてみます。快調に回転します。
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2年前の修理時にはモーターの不調は発見
されなかったようです。カバーを取り付けます。
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トレイを取り付けた状態で
動作確認を行います。
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モーターに電圧を加えると
トレイが俊敏に引き込みます。
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逆向きの電圧を加えると、やはり俊敏な動作でしかも滑らかにトレイが
出てきます。モーターの固着はグリスの固化、あるいは錆が生じたため
でしょう。いずれも潤滑剤を吹き込んだことで、十分回復が見込めます。
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分解したついでにピックアップ
レンズを丁寧にクリーニングします。
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CDデッキ部を元に戻します。
狭くぎりぎりの空間に収めます。
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固定ネジを締め込み
コネクタ類を差し込みます。
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2枚の基板も元の位置に戻します。
コネクタ数は1410ほど多くありません。
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電気配線を全て終えた時点で
正式な動作確認を行います。
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トレイの開閉ができるだけでは、修理を終えたことに
なりません。正常にCDが再生されるか確認します。
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右側ツマミの上半分がイジェクトボタンです。慌ただしくも
なく待たされることもなく絶妙な速度でトレイが出てきます。
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CDをセットします。プレーヤーにとって
再生の難しいCD-Rを使用します。
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TOCを読み込んだ後、無事再生が始まります。
経過時間がカウントアップされて行きます。
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スピーカーが接続されていないので
ヘッドホンで再生音を確認します。
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問題ありません・・どころか、BOSEならではの
素晴らしい再生音です。ベゼルを嵌め込みます。
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BOSE製スピーカーを前提にしたアクティブイコライザー
回路を内蔵しています。BOSE音質はその効果でしょうか?
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ほとんどのご依頼者が「長く愛用してきたBOSEが手放せない」、「何とか修理
できないか」とおっしゃいます。それだけBOSEプレーヤーの音質を気に入られて
いるのでしょう。蘇ったBOSEを工房で視聴する度に、共感・共鳴しています。
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