守谷工房のリペア3へ                守谷工房Topへ

BOSEレシーバーPLSー1310(2019.6.9)


BOSE製品の修理が止まりません。先日のPLS-1410に続き同じくコンポの
レシーバーが、今回は工房に配送されてきました。1410同様にイジェクト操作を
してもCDトレイが微動だにせず、結果CDを全く再生できないそうです。1410に
引けを取らない重厚で風格のある1台です。重量7.1kg、とにかく重たいです。

 

前面パネルは1410とほぼ同じ構成です。
CDのイジェクトボタンが見当たりません。

 

型番は「PLS-1310」、薄いヘアラインが
施されたパネル面に控え目に刻印されています。

 

前面パネルのシンプルさに比べ、背面パネルには
妥協がありません。入出力端子が溢れています。

 

「サービスマン以外は外さないで・・」と注意が
ありますが、「サービスマン」では分かりません。

 

本体を横に立て、底面側から分解を
進めます。厚い銅板製のシャシーです。

 

両側から上面にかけて豪華なメープル調銘木板が
あしらわれ、格別の高級感を漂わせています。

 

前回と異なり銘木板だけが
外れる構造ではないようです。

 

金属製のカバーと一体構造です。固定ネジを
緩めると、後方にスライドして外れます。

 

PLS1410の5年前1996年に発売されています。内部の基板構成やレイアウトが
1410とかなり異なっています。2枚の基板間を直接接続するコネクタ類は見当たり
ません。パワー段は同じ右側面に配置されており、放熱器が華奢な印象です。

 

2枚の基板が手前と奥に平面的に分離して
取り付けられています。奥側から取り外します。

 

背面パネルに出る端子の一部は
基板に直接取り付けられています。

 

金属板でシールドされたチュ-ナーモジュールが基板上に
あり、アンテナ端子が直接背面パネルに突き出ます。

 

手前側の基板を外します。
数本の固定ネジを緩めます。

 

電源ユニットからの
ケーブルを外します。

 

音量調節用の重厚なツマミを引き抜きます。
背後からドライバで押し出す必要があります。

 

樹脂製ですが側面のメープル調
銘木板と色柄が揃っています。
 

音量調節器(ポテンショメーター)の
シャフト根元の固定ナットを緩めます。

 

2枚の基板を取り外すとようやく
CDデッキ部にアクセスできます。

 

CDデッキ部の固定方法(ネジの位置)を
全て見つけ出さなければなりません。

 

部品や配線の陰に、別部品の
固定も兼ねて打ち込まれています。

 

CDデッキ本体を貫通する穴をくぐり
固定されているネジもあります。

 

基板固定用のスペーサーが、CD
デッキを引き出す時の邪魔になります。

 

前もってCDトレイのフロントベゼルを外して
おかないと、パネルの開口部を通りません。

 

トレイが出ない不具合なので、とにかくCD
デッキ部に到達しないことには始まりません。

 

ようやく分離したデッキ部を裏返し、
接続されているケーブル類を抜きます。

 

PLS-1410と異なり、CDデッキ部の上側が金属製カバーで覆われて
います。上に載る基板を支える以外に、シールドの役割もあるのでしょうか。

 

3面を覆った底面側で
ネジ固定されています。

 

ピックアップユニットが一風
変わった方法で実装されています。

 

底面側に取り付けられている
制御基板を取り外します。

 

ピックアップユニットに含まれるスピンドル回転用と、
トレイローディング用の2個のモーターが見えます。

 

トレイが閉じてピックアップがCD盤面に
接近したまま故障状態にあったようです。

 

ピックアップユニットが読み取り位置にあるため、
トレイもどこかでロックされ動かしようがありません。

 

あれこれ(壊さない程度に)いじり回し
試行錯誤の末、解除方法を見つけました。

 

このツマミをスライドさせると、ピックアップ
ユニットが写真手前側を支点に揺動します。

 

デッキ部を取り出した直後の状態です。ピック
アップユニットはCD読み取り位置にあります。

 

ツマミをスライドさせると、ピックアップユニット
全体が傾いてCD盤面から離れます。

  

同時にトレイの開閉ロックが解除され、トレイを引き出すことができる
ようになります。機構を構成する各部品には特に損傷や変形はありません。

 

下に突き出ているツメがトレイの脱落を防止
しています。ドライバーの先で解除します。

 

トレイをデッキから引き抜きます。
ローディングできない原因を探ります。

 

ローディング用モーターとトレイを開閉させる
機構です。薄い樹脂製カバーで覆われています。

 

前回1410と同じくゴムベルトの劣化を点検します。
2年前に修理されたそうで、まだしっかりしています。

 

ゴムベルトが原因でないとすると厄介な修理になりそう
です・・が、ベルトを駆動するプーリーが固くて回りません。

 

ローディング用のモーターを点検する
必要があります。プーリーを抜きます。

 

固定ツメを解除しモーターを
反対側に押し出します。

 

直流3~5Vを加えてみますが全く回転
しません。シャフトが固着しています。

 

モーターの内部に潤滑剤を吹き込み、
高圧エアで飛ばす作業を繰り返します。

 

ペンチでシャフトを少しずつ回転させ固着を
取り除きます。間もなく自転し始めます。

 

モーターを戻しプーリーやベルトを取り付け
動かしてみます。快調に回転します。

 

2年前の修理時にはモーターの不調は発見
されなかったようです。カバーを取り付けます。

 

トレイを取り付けた状態で
動作確認を行います。

 

モーターに電圧を加えると
トレイが俊敏に引き込みます。

 

逆向きの電圧を加えると、やはり俊敏な動作でしかも滑らかにトレイが
出てきます。モーターの固着はグリスの固化、あるいは錆が生じたため
でしょう。いずれも潤滑剤を吹き込んだことで、十分回復が見込めます。

 

分解したついでにピックアップ
レンズを丁寧にクリーニングします。

 

CDデッキ部を元に戻します。
狭くぎりぎりの空間に収めます。

 

固定ネジを締め込み
コネクタ類を差し込みます。

 

2枚の基板も元の位置に戻します。
コネクタ数は1410ほど多くありません。

 

電気配線を全て終えた時点で
正式な動作確認を行います。

 

トレイの開閉ができるだけでは、修理を終えたことに
なりません。正常にCDが再生されるか確認します。

 

右側ツマミの上半分がイジェクトボタンです。慌ただしくも
なく待たされることもなく絶妙な速度でトレイが出てきます。

 

CDをセットします。プレーヤーにとって
再生の難しいCD-Rを使用します。

 

TOCを読み込んだ後、無事再生が始まります。
経過時間がカウントアップされて行きます。

 

スピーカーが接続されていないので
ヘッドホンで再生音を確認します。

 

問題ありません・・どころか、BOSEならではの
素晴らしい再生音です。ベゼルを嵌め込みます。

 

BOSE製スピーカーを前提にしたアクティブイコライザー
回路を内蔵しています。BOSE音質はその効果でしょうか?

 

ほとんどのご依頼者が「長く愛用してきたBOSEが手放せない」、「何とか修理
できないか」とおっしゃいます。それだけBOSEプレーヤーの音質を気に入られて
いるのでしょう。蘇ったBOSEを工房で視聴する度に、共感・共鳴しています。

 
守谷工房のリペア3へ                守谷工房Topへ