先月末に臨時休業をいただき、群馬片品村と鬼怒川温泉へ
出かけてきました。片品村ではシャレーみのりに宿泊しました。
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シャレーみのりを囲む農園では、様々な作物の収穫が続いて
います。昼夜の寒暖差により糖度が凝集し素晴らしく美味です。
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実は旅行を計画する少し前にシャレーみのり様から連絡が入り、以前に本格修理を
終えた業務用ベーカリーが、再び不調に陥っているとのことです。庫内の温度上昇に
時間がかかり、予定した時刻にパンが焼き上がらないそうです。時間を長くかければ
最終的にはパンは焼けるそうですが、新品のヒーターに交換してまだ半年しか経って
おらず、不具合の原因をあれこれ思案しておりました。それにしても旅行の計画に
合わせるかのように不具合が起こり、何か巡り合わせ~、結びつき~、を感じます。
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半年ぶりのベーカリー、毎日美味しいパンを元気良く焼いてきた
そうです。会いたがっていたように感じるのは・・、気のせいです。
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今朝の焼き上がり後、まだ庫内温度が下がり切って
いません。電源とヒーターのスイッチをONにしてみます。
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ヒーターのパイロットランプが点灯し、特にエラー表示もあり
ません。が、確かに温度上昇に時間がかかっています。
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ヒーターの断線や通電不良であれば、温度上昇はさらに
絶望的でありエラー表示が出るはずです。内部を点検します。
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ヒーターに電力が供給されているか確認します。三相R・S・T
間で電圧を測定します。端子の中・下間は200V、正常です。
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次に端子の上・中間を測定します。あれ?
半分の100Vしかかかっていません。
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最後に、端子の上・下間を測定します。
ここも半分の100Vしかかかっていません。
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上流のブレーカー端子でも電圧を確認します。
横に並ぶR・S・Tで、端子の左・中間は200V。
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端子の左・右間も200V、正常です。200Vの感電
ショックは半端ではありません。十分気を付けます。
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最後に、端子の中・右間を確認します。
200Vが測定され、問題ありません。
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ヒーターへの接続端子とブレーカーの間に200Vが100Vに
ダウンする原因があります。ヒューズが入っています。
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三相3線のうち、2本にヒューズが入れられています。
右側のヒューズは、入力側・出力側とも200Vです。
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左側のヒューズの入力側です。
200Vがかかっています。
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左側ヒューズの出力側に回路形を当てると、
100Vしかかかっていません。原因が分かりました。
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三相交流電力のヒーターへの接続回路です。3本のヒーターをデルタ形に結線
していますが、実際にはスター結線です(図を描き終わってから気づきました)。
電力供給線3本のうち2本にヒューズが入れられています。3本のヒーターの
うちどの1本が短絡等の不具合を起こしても、ヒューズが溶断する設計です。
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ヒューズの1本が溶断すると、この線による電力供給が途絶え、3本のうち2本の
ヒーターでは、200Vを半分ずつ分圧するため100Vが測定されることになります。
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不具合の原因は2本のヒューズのうち片側1本の溶断です。
電源を切り、配電盤のブレーカーを落として作業を進めます。
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温度上昇に長く時間がかかるも、最終的には設定温度に
到達しパンが焼き上がる・・、状況が良く理解できます。
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溶断したヒューズを取り出します。ヒューズが切れるには何か
原因があるはずで、できれば突き止めておきたいものです。
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しかし、これまでの実使用時間・年数を考えると、
おそらく繰り返された熱ストレスによるものでしょう。
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ヒューズの仕様を確認すると、600V、15A、セラミック
外装の特殊ヒューズです。HSや電器店では入手できません。
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ご法度であることを承知の上で、切れたヒューズ部分を
導線で短絡し、ヒーターの動作を確認してみます。
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温度上昇にかかる時間がまるで異なります。
操作パネルの数字表示が所々点灯不良です。
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1時間強で設定温度の225℃を超えました。室温
まで冷えた状態からでは、もう少しかかるでしょう。
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翌日は日本ロマンチック街道経由で金精峠を超え、鬼怒川温泉(昭和の遺物)に
宿泊し柔らかいアルカリ泉を楽しみました。翌々日に工房に戻り、同等規格の
ヒューズを発注。スペアも含め3本を、簡単な交換手順を同封して郵送します。
現地出発前にシャレーみのりのご主人に交換方法を詳しく説明してきましたが、
くれぐれも分電盤のブレーカーを落として作業なさって下さい。半端ないです。
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