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業務用ベーカリー不調再び(2018.9.3)


先月末に臨時休業をいただき、群馬片品村と鬼怒川温泉へ
出かけてきました。片品村ではシャレーみのりに宿泊しました

 


シャレーみのりを囲む農園では、様々な作物の収穫が続いて
います。昼夜の寒暖差により糖度が凝集し素晴らしく美味です

 

実は旅行を計画する少し前にシャレーみのり様から連絡が入り、以前に本格修理
終えた業務用ベーカリーが、再び不調に陥っているとのことです
。庫内の温度上昇に
時間がかかり、予定した時刻にパンが焼き上がらないそうです。時間を長くかければ
最終的にはパンは焼けるそうですが、新品のヒーターに交換してまだ半年しか経って
おらず、不具合の原因をあれこれ思案しておりました。それにしても旅行の計画に
合わせるかのように不具合が起こり、何か巡り合わせ~、結びつき~、を感じます。
 

半年ぶりのベーカリー、毎日美味しいパンを元気良く焼いてきた
そうです。会いたがっていたように感じるのは・・、気のせいです。

 

今朝の焼き上がり後、まだ庫内温度が下がり切って
いません。電源とヒーターのスイッチをONにしてみます。

 

ヒーターのパイロットランプが点灯し、特にエラー表示もあり
ません。が、確かに温度上昇に時間がかかっています。

 

ヒーターの断線や通電不良であれば、温度上昇はさらに
絶望的でありエラー表示が出るはずです。内部を点検します。

 

ヒーターに電力が供給されているか確認します。三相R・S・T
間で電圧を測定します。端子の中・下間は200V、正常です。

 

次に端子の上・中間を測定します。あれ?
半分の100Vしかかかっていません。

 

最後に、端子の上・下間を測定します。
ここも半分の100Vしかかかっていません。

 

上流のブレーカー端子でも電圧を確認します。
横に並ぶR・S・Tで、端子の左・中間は200V。

 

端子の左・右間も200V、正常です。200Vの感電
ショックは半端ではありません。十分気を付けます。

 

最後に、端子の中・右間を確認します。
200Vが測定され、問題ありません。

 

ヒーターへの接続端子とブレーカーの間に200Vが100Vに
ダウンする原因があります。ヒューズが入っています。

 

三相3線のうち、2本にヒューズが入れられています。
右側のヒューズは、入力側・出力側とも200Vです。

 

左側のヒューズの入力側です。
200Vがかかっています。

 

左側ヒューズの出力側に回路形を当てると、
100Vしかかかっていません。原因が分かりました。

 

三相交流電力のヒーターへの接続回路です。3本のヒーターをデルタ形に結線
していますが、実際にはスター結線です(図を描き終わってから気づきました)。
電力供給線3本のうち2本にヒューズが入れられています。3本のヒーターの
うちどの1本が短絡等の不具合を起こしても、ヒューズが溶断する設計です。

 

ヒューズの1本が溶断すると、この線による電力供給が途絶え、3本のうち2本の
ヒーターでは、200Vを半分ずつ分圧するため100Vが測定されることになります。

 

不具合の原因は2本のヒューズのうち片側1本の溶断です。
電源を切り、配電盤のブレーカーを落として作業を進めます。

 

温度上昇に長く時間がかかるも、最終的には設定温度に
到達しパンが焼き上がる・・、状況が良く理解できます。

 

溶断したヒューズを取り出します。ヒューズが切れるには何か
原因があるはずで、できれば突き止めておきたいものです。

 

しかし、これまでの実使用時間・年数を考えると、
おそらく繰り返された熱ストレスによるものでしょう。

 

ヒューズの仕様を確認すると、600V、15A、セラミック
外装の特殊ヒューズです。HSや電器店では入手できません。

 

ご法度であることを承知の上で、切れたヒューズ部分を
導線で短絡し、ヒーターの動作を確認してみます。

 

温度上昇にかかる時間がまるで異なります。
操作パネルの数字表示が所々点灯不良です。

 

時間強で設定温度の225℃を超えました。室温
まで冷えた状態からでは、もう少しかかるでしょう。

 

翌日は日本ロマンチック街道経由で金精峠を超え、鬼怒川温泉(昭和の遺物)に
宿泊し柔らかいアルカリ泉を楽しみました。翌々日に工房に戻り、同等規格の
ヒューズを発注。スペアも含め3本を、簡単な交換手順を同封して郵送します。
現地出発前にシャレーみのりのご主人に交換方法を詳しく説明してきましたが、
くれぐれも分電盤のブレーカーを落として作業なさって下さい。半端ないです


 
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