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パネルヒーター温度スイッチ交換(2019.1.19)


Electrolux製パネルヒーターの修理依頼を再びいただきました。昨年10月にアップした
遠赤外線パネルヒーター電源スイッチ交換」をご覧になりお問い合わせ下さいました

 

前回のパネルヒーターEPH812とは異なる製品です。
手前のメッシュ板やツマミのデザインが違います。

 

型式はEPH303、定格消費電量が
EPH812と同じ1200Wです。

 

本体右側面に電源スイッチと
温度調節ダイヤルがあります。
 

電源を入れても全く暖まってきません。
伺っていた通りです。故障原因を探します。

 

左右側面には縦長ボックス状のカバーが嵌め
込まれています。背面側に固定ネジがあります。

 

Y字溝の特殊ネジが使われています。危険防止のため
家庭内では簡単に開けられない工夫?でしょう。

 

(スマホではなく)携帯電話用の
精密ドライバービットを使用します。

 

先に脚部を外す必要があります。
キャスターごと取り外します。

 

脚部を取り外した内側にも
固定ネジがあります。

 

このネジは普通の
+溝ネジです。

 

カバーの中ほどに化粧キャップが
嵌め込まれています。外してみると、

 

ここにも固定ネジが
あります。緩めます。

 

先に左側のカバーを外します。メッシュ板の
左右端はカバー内側に仕舞われています。

 

右側のカバーにも、中ほどに化粧
キャップと固定ネジがあります。

 

カバーを外すと内側にヒーターの
操作部が組み込まれています。

 

温度調節器(サーモスタット)の不具合も
考えられるので、操作部を取り外します。

 

操作部を外さないとメッシュ板を外せず、さらに
発熱パネルにアクセスすることも出来ません。

 

メッシュ板は金属製のインナーフレームに
ビスとナットで固定されています。

 

4本のビスを外し、メッシュ板を本体上下にある
縁折り内を移動させます。かなりきつく嵌まっています。

 

メッシュ板の表面が大きめに取られているからで、
装着時に表面に凹凸が出来ないようにしています。

 

メッシュ板を取り除くと、発熱パネルの奥に
温度スイッチ(サーモスタット)が見えます。

 

本体の穴を通り背面側にツマミが出ています。
手動復帰型の温度スイッチが使われています。

 

発熱パネルを固定しているネジと
セラミックブッシュを外します。

 

発熱パネルを持ち上げてみると、2個の温度
スイッチが左右に取り付けられています。

 

温度スイッチは直列に接続されており、2か所の
どちらで温度異常が生じても回路が切断される設計です。

 

その片方が手動復帰型温度スイッチ
です。順に取り外して点検します。

 

温度スイッチは2枚の樹脂製プレートからなるホルダーに収められ、ホルダー内で
配線に接続されています。プレートを分離すると、内部はこの状態です! 温度
スイッチの端子と配線の接続部分が過熱しており、燻った跡が色濃く残り火花が
飛んでいた可能性もあります。サーモスタットの動作が不安定になり、配線に
過電流が流れたことが原因でしょう。接続部分の僅かな接触抵抗も疑われます。

 

温度スイッチの導通を調べてみます。
完全に絶縁状態、壊れています。

 

他方の温度スイッチも分解します。
外観的には問題なさそうです。

 

内部に焦げ跡など皆無です。温度
特性は手動復帰型と同じものです。

 

こちらは常温下で
完全に導通します。

 

手動復帰型温度スイッチへの配線を短絡し、
通電して他の部分に不具合がないか確認します。

 

電源スイッチを入れます。
パイロットランプが点灯します。

 

温度調節ダイヤルで温度設定を少し上げ
ます。発熱パネルに通電が始まります。

 

パネル面の温度が一挙に上昇していきます。
問題ありません。1200Wの発熱は強烈です。

 

この時点で温度スイッチ以外に不具合はないと
判断します。温度スイッチを新しく交換します。

 

温度スイッチの規格を確認します。「L90C」は設定温度
90℃の意味です。許容電流は部品の大きさで判断します。

 

電熱器具関係の部品調達では坂口電熱
度々お世話になっています。在庫があります。

 

通販の扱いがないので秋葉原
店頭まで出向いて入手します。

 

破損した元の温度スイッチ(写真上)と、購入した新しい部品(写真下)です。径が
若干大きく固定用のブラケット付きですが、接続端子の形状などはほぼ同等です。

 

ブラケットは不要なので取り去ります。
ニッパで途中を切り離します。

 

内部のバイメタルに正確な動作温度が設定されているので、
不用意に衝撃などを与えないよう慎重に作業します。

 

接続端子に配線を取り付けます。接触抵抗を
排除するため配線金具を少しカシメておきます。

 

下側の樹脂製プレートに当てます。焼け
焦げた部分はそのまま使用します。

 

上側のプレートを被せ、ツメを噛み合わ
せてホルダーとして一体化させます。

 

手動復帰用のシャフトを穴から背面に
通し、ネジで本体に固定します。

 

温度スイッチの交換を終え、発熱パネル以下、各部を元通りに組み上げます。
ひたすら元の組み立て状態に戻すことに徹します。不用意にアセンブリを
変更することは、特に電熱器具類では製造元も想定しない危険を招きます。

 

工房内でしばらく試験運転します。寒さの厳しい折、暖かくて嬉しい確認作業です。
温度スイッチ1個が原因の故障でしたが、高性能の発熱パネルを廃棄せずに済み
ました。温度スイッチの専業製造元では、メーカー品の修理目的には部品を販売
しない場合があります。メーカー間で了解する安全基準を維持できないからです。
坂口電熱で部品が買えるからといって、安直な修理をお勧めするものではありません。

 
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