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こちらは「フィリップス製レコードプレーヤ」の修理記事についてです。WEB掲載の記事で詳細まではわからないのですが、ちょっと不自然に感じた所があるので、わからないながらも記してみます。こちらの誤認、誤解がありましたらばお許しください。 32uF×2の電解コンデンサの周辺です。 Rec. a b -->|-----□------- | | === === | | GND GND 最初に感じたのは、ブロックコンデンサの並列のab間のドロップ および平滑用抵抗器が12kΩ(22kΩに換装)は、ずいぶんと高い抵抗値だなあ?ということです。カラーコード「緑・赤・黒・・・」からは52Ωの可能性がありますが、"52"という値は通常のE24数列ではありません。緑が「実は青」な らば"62Ω"であり得る値です。このセットでは、たぶんソリッド抵抗器の±20%で、色帯が3つのものだと思われます。逆だとすると「黒・赤・緑」これでは、先頭がゼロなのであり得な いですね。62Ωならば、2つの平滑コンデンサの並列の懸け渡しとして標準的 な値です。であるならば、テスタでの実測「12kΩ」は、そうすると"焼損により抵抗体の劣化かもしれない"ということになります。
ここまで推理・考察してから、いややはり22kΩ程度の高抵抗が入っていて、高電圧側が終段のB電圧、抵抗を経由したドロップ側が初段のB電圧か?とも思いました。そうであるならば、WEB記事のコンデンサ端子の写真の「赤または橙」の配線と、黄色の配線の先をたどれば判明します。つまり Rec. a b -->|-----□------- | | === === | | GND GND 推測でaが6BQ5(EL84)の終段B+、bが初段EF86のB+ではないかというこ とです。だとすると、ab間の電圧が350Vというのが不自然になります。この不自然さは、上記の「62Ωではないか?」の場合も当てはまります。写真の読み間違いで、350Vが「aまたはbと、GNDの間」ならば正常だと思われます。また、そもそも最初の抵抗器の焼損の原因が気になります。仮に12kだと仮定して、それが1W発熱するためには109Vの電位差が継続してかかる必要があります。その1つとしてあり得るのが、コンデンサ自体の容量抜けや、漏れ電流の増加ですよね。上記回路図でのb側のコンデンサの漏れ電流が増加したとするならば、62Ωであれば焼損に結び付きます。その状態のまま、「62Ωを22kΩ」に換装したならば、焼損せず、漏れ電流もわずかになり、なおかつ『ab間がかなりの電圧≒350V』という状態が観測されることになります。そうすると初段のB電圧がかなり不足して、音量の低下、もしくは歪みがちな再生音、となるでしょう。
参考として、 http://www.furo-visu.com/s_new-pp2/new-pp2_gazo/6bq5np1.gif 元記事http://www.furo-visu.com/s_new-pp2/6bq5np1.html この参照回路図で、2Hの平滑チョークコイルをコストダウンの62Ωに 置き換えて考えるならば、初段と終段のB電圧が共通である回路構成 となります。また、初段と終段のB電圧に差がついている場合は、参照回路図では27kΩ2W経由で取ったB2のプレート電源として、22kΩ程度への換装が妥当である、ということになります。 また、管ヒューズは経年劣化によって、通常の突入電流でも溶断して しまうことがあるのは知られていることかと思います。また、真の過電流での溶断は、かなりルーズというかのんびりしたも ので、1.6倍の電流では切れてはいけない、2倍の電流で数分間、5倍の電流で数秒といった塩梅ですから、焼損抵抗器の10W消費によってトラ ンスの100V一次側が切れた、とは考えにくいともいえます。限られた情報からの推測ばかりで恐縮ですが、何よりもコンデンサの劣化がないことを祈ります(これもいっそのこと、交換?)
お送りいただいたPDFの回路図で、平滑コンに挟まれた抵抗が62Ω?22kΩ?でしたっけ。22kΩで70Vのドロップとして、音量少なく歪がち、とのことで すね。B2の170V側にICクリップを接続し、GNDとの間に電圧計を接続 した状態で電源を入れ、22kΩに並列に100kΩをチョン付けし て(約18kΩ)、電圧の上昇と、音声の歪み具合の変化を試聴してみるのはいかがでしょうか。回路図では、B2の先に抵抗器が続いて接続されているので、32uFではさまれた抵抗器がリップルフィルタの100Ω程度でその先で電圧ドロップしている可能性も読み取れます。はさまれた抵抗で240V→170Vのドロップとしているのがオリジナルの回路の場合、前段のEF86へゆく途中の抵抗器がなぞです。回路図の"EF86a"は、EF86のプレートということでしょうか?(a→アノード→陽極→プレート) 「音量不足+歪み」なので、電圧の高すぎによる波形クリップ(危険な方向)ではなく、初段の増幅率の不足の可能性がありま す。初段のプレート電圧はいかがでしょうか? また、年代モノなので、出力トランスの巻線のレイヤ・ショー トの可能性もゼロではありません。正弦波を初段に入力して、各段の波形を、オシロのAC受けで波形チェックするのも診断の手です。平滑用のコンデンサが32uFのところ46/40uFあるとのことで、容量抜けはなさそうですが、温度変化や測定器の相違で見かけ容量の変化もあるかもしれません。10~22uF程度を並列に「チョン付け」で、変化を観るというのも案の1つです。あまり真空管回路のバイアスの与え方などについては詳しくないので申し訳ありません。以上、思い付きのとりとめもないことを列挙して恐縮ですが、発見なり改善があることを願っています。