守谷工房のリペア4へ                守谷工房Topへ

ゴミ集積所屋根葺き替え工事2(2020.10.14)

 
ゴミ集積所屋根葺き替え工事の続編です。屋根板を載せる前の基礎工事は既に完了
しています。ここからが工事本番のようですが、タイトフレームを交換する作業に比べると
そうでもありません。ただし、正確に取り付けるにはそれなりの手順が必要です。
 

手配した屋根板、折板と呼ばれます。現状と
同じ働き巾600mm(3折)を使用します。


板厚は現状0.5mmのところ0.8mmを使用します。
重量が6.28kg/mから9.87kg/mに増えますが、
 

断面係数は19.4cm3/mから38.0cm3/mと倍増し、
おそらく人が乗っても問題ない強度が得られるはずです。

 

折板長は現状と同じく2400mmです。前後の
タイトフレームボルト間は実測1970mm前後です。

 

手前側タイトフレームからの張り出しが255mmなので、
前後の張り出し長さ43mmから奥側の張り出しを求めます。

 

端から175mmの位置に奥側
タイトフレームのボルトを通します。

 

175mmの位置を正確に
割り出しペンでマークします。

 

ボルトは折板の山折部を通ります。
幅方向の中央をマークします。

 

マークした位置にポンチを打ちます。
0.8mm厚鋼板を強めに叩きます。

 

折板1枚に山折部が4か所あるので
4か所ともポンチを打ちます。

 

ポンチ位置に8mm径のドリルで穴を開けます。
0.8mmの薄板なので簡単に穴が開きます。

 

O氏が考え出した作業手順により、
手前側にはボルト穴を開けません。

 

奥側のボルト穴だけが開いた
状態で折板を屋根に運び上げます。

 

手前側のタイトフレーム上に、予めボルト
位置に穴を開けた角材を差し込みます。

 

そのままでは折板を持ち上げる際に
ボルトの先(剣先)で裏面を傷付けます。
 

角材に開けられた穴にボルトが嵌まることで、
角材が固定されると同時に折板を保護します。
 

角材の表面には養生テープが貼られており、
折板を移動させる際の滑りを改善しています。

 

折板に開けられた穴位置が、奥側の
タイトフレームに一致するよう調整します。

 

穴位置が合ったところで4本のボルトを穴に通します。ボルトの位置は
タイトフレームに依存しており、タイトフレームと折板は工業製品として
寸法が厳密に管理されています。結果、何ら問題なく穴に収まります。

 

折板の手前側には、まだ
ボルト穴が開いていません。

 

従って、手前側はタイトフレームの
ボルト上に折板が載っているだけです。

 

タイトフレームはC型鋼材に溶接留めされていた
ので、前後の間隔は必ずしも一定とは限りません。
 

そのため、片側は現物合わせの
方が正確に位置決め出来ます。
 

折板の上に角材を置いてハンマーで
叩くと、ボルトの先に突起が出てきます。

 

その突起位置で、突起を逆方向に
凹ませるようにポンチを打ちます。

 

ボルト(剣先)が多少ぶれていても、その
ぶれに追随した正確な位置を割り出せます。
 

ポンチを打った位置に
8mmの穴を開けます。

 

先ほどの角材を下に入れて
折板を少し浮かせています。

 

この調子で穴4個を「タァーッ」と
開けてしまいます。

 

折板の穴にボルトを通し、特殊なゴムパッキンがセットされた専用のナットを締め込み
ます。ゴムパッキンはブチルゴム製で、締め込まれると潰れて広がりボルト穴の周囲を
シールするようになっています。ボルト穴の内側を錆止め処理する必要もありません。

 

パッキンを潰しながら強く締め込む
ため、ボックスレンチが必要です。

 

折板に穴あけした際に生じた切り屑をブロアで
飛ばします。放置すると貰い錆びの原因になります。

 

続いて奥側のボルトにも
ナットを締め込みます。

 

途中まで締め込んだ状態です。
パッキンを潰しながらさらに締めます。

 

屋根上から降りてきて
2枚目の折板にかかります。

 

山折り部4か所に奥側から
175mmで穴を開けます。

 

折板を含む大部分の資材は、竜ケ崎市内に
ある老舗の金物店に手配してもらいました。

 

現場用資材の中には、ネット通販で
簡単に入手できないものがあります。

 

工務店や職人さん御用達の店舗なので
資材に関して色々と教えてもらえます。

 

1枚目折板の隣に
2枚目を載せます。

 

山折り部を一つ分、手前の
折板に重ねて載せます。

 

再び地上に降りて次の
折板を準備します。

 

屋根前面を覆うには6枚の折板が
必要で、同じ作業を繰り返します。

 

地上で穴あけ → 屋根上へ持ち上げ → 嵌め込み
 → 残りの穴あけ → ナット固定 を6回繰り返します。

 

手前の折板との重なり部は、鋼板の端が
強めに折られていて雨仕舞となります。

 

屋根板が広がると、小屋と
しての体裁が戻ってきます。

 

5枚目、最後から2枚目の折板です。
山折り部の重ね方を変更します。

 

最後の2枚は、全働き巾の帳尻を
合わせるため山折り部を二つ分重ねます。

 

最後の1枚を載せます。この通り折板の
上に乗っても全く問題ありません、頑丈です。

 

この1枚を固定すれば、折板の
取り付け作業は完了ですが・・

 

最後になって問題が出てきました。小屋のすぐ
脇に立つ金属ポールに、折板の端が干渉します。

 

解決策は・・、金切り鋏を取り出し
干渉する部分に切り込みを入れます。

 

金属ポールを回避できる間隔で
2か所に切り込みを入れます。

 

次にペンチを使って切り込み部を
下方に折り曲げてやります。

 

これで金属ポールとの当たりを避けることが出来ます。折板を切り込んだ
部分は、錆が発生しないよう切り口をペイントで補修しておきます。

 

地上から見上げても
自然な印象です。

 

最後の折板を固定します。
ボルト位置にポンチを打ちます。

 

ナットを取り付けます。反対側では
K氏が既に締め込み作業中です。

 

ボックスレンチを使用して
最後のナットを締め込みます。

 

折板の関連資材としてこのような
樹脂パーツがあることを知りました。

 

ボルトおよびナットの飛び出し部分を完全に覆う
キャップです。防水と防錆、さらに美観を向上させます。

 

元の屋根にはありませんでしたが、あらためて取り付けて
みると外観がすっきりしてデザイン的にも悪くありません。

 

作業は仕上げ段階に入っています。これは折板の
三角計の隙間を塞ぐ「見切り面戸」という部品です。

 

折板の隙間に合わせて
取り付け位置を決め、

 

C型鋼材にタッピングネジを
数本打って固定します。

 

見切り面戸は元々取り付けられていた
もので、全て新しい部品に交換します。

 

見切り面戸を取り付けておかないと、隙間
から鳥や小動物が侵入する恐れがあります。

 

奥側の隙間にも同様に取り付けます。
エキスパンドメタルは再利用します。

 

この時点で元の状態に修復されたことになります。折板と見切り面戸が真新しくなり、
新装された雰囲気が十分に出ています。ですが、さらにもうひと手間かけます。

 

これも資材調達中に見つけた部品で
「化粧フレーム」と呼ばれます。

 

同系統色のシール材をコーキング
ガンにセットし、内側に塗り付けます。

 

折板の手前端に取り付けます。
シール材は接着剤替わりです。

 

折板の折り曲げ形状に合わせて
作られているので、ピタリと嵌まります。

 

シール材が固化するまで
時間がかかるので、

 

養生テープで仮止めしておきます。
後日撤去することにします。

 

取り付けてみて、一同その効果に驚きました。屋根端に厚みが加わった印象で、
鋼板の薄い板厚のままよりも、明らかに丈夫そうで安定感が漂います。

 

全作業が終わりました。まだ化粧フレームの仮止めテープがそのままですが。
人様の所有物を修理・修復してきたのに、綺麗に仕上がってみると自分ごとの
ように嬉しく感じるものです。同時に「完成=別れ」でもあり、どこか寂しく感じ
たりもします。O氏やK氏がどうお感じになるのか、分かりませんけれど・・。

 

作業を終え現場の撤収に入ります。
発電機や脚立も含め大量の道具です。

 

O氏とK氏は8月末から週末ごとに
全4か所の工事を進めてきました。

 

今回はその4か所目、最後の
ゴミ集積所工事となりました。

 

仕上がった屋根を上から見下ろして
みます。真新しいグレー色が映えます。

 

折板の縁に取り付けた化粧フレームが、想像していた以上に品質感を
高めています。前面のサッシ製スライドドアにほとんど経年劣化がない
ので、全体的にも老朽感がありません。気持ち良く利用いただけそうです。

 

月に入り最初の週末に工事した、2か所目のゴミ集積所です。
猛烈な暑さの中での作業でした。こちらも綺麗に仕上がっています。

 

月第2週の週末に工事した、3か所目のゴミ集積所です。
周囲から樹木が覆い被さり、伐採しながらの作業でした。

 

8月月末に工事した自治会々館近く、1か所目のゴミ集積所です。最初の工事
だったため、手順を確認しながらの作業となり丸2日を要しました。振り返るとこの
4月に最初のお問い合わせをいただき、7月に入り資材調達や工法の検討を開始し
8月末に着工した(工房にとって)大仕事が、秋の気配を感じ始める9月下旬に
ようやく完了となりました。工事を完遂された工房テクニカルパートナーのO氏と
K氏に感謝申し上げます。機会を頂戴した自治会役員の方々に御礼申し上げます。

ゴミ集積所屋根葺き替え工事1へ

 
守谷工房のリペア4へ                守谷工房Topへ