配送業者さんが横幅80cm以上、重量40kg近くもある大きな荷物を
運んできました。一人では横に寝かすことも立てることも容易ではあり
ません。驚いたのはその梱包の不十分さで、エアパッキンにくるまれた
状態で、つなぎ合わせた薄手の段ボール箱2個に押し込まれています。
梱包に40kgを支える強度はまるでありません。片方の段ボール箱を
外すとオープンリールデッキが顔を出すものの、カバーらしき部品が脱落
しています。配送中に不具合が加わっていなければいいのですが。
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本体両サイドに取り付けられている化粧板の
角です。強くぶつけたような跡があります。
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こちら側もひどい状態です。ぶ厚い
MDF材が中央で割れかかっています。
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届いたのはTEAC製、オープンリールデッキ付きのMTRです。
取りあえずご依頼主に連絡し、このような状態で到着したことを
伝えます。返ってきた回答は、どこもかしこも故障だらけなので
何とかしてほしいとのことです。ご依頼を受けたのは3月末の
ことで、以後修理完了まで1か月以上を費やすことになります。
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TASCAM388、STUDIO8。8チャンネルミキサーに、
8トラックのオープンリールMTRが組み合わされています。
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スペックを把握しようにもネット上にもほとんど
資料が残っていません。かろうじて見つけたのは・・
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こちらのサイトに発売当時カタログのコピーが掲載されています。
8チャンネルではスタジオ録音には不十分ですが、小規模な屋外
ライブ用などに可搬性のある機材として対応できるでしょう。もちろん
ホームスタジオでのトラックダウンには贅沢過ぎる1台です。発売は
1985年(昭和60年)で、当時の価格650000円!!ですって。
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脱落していたデッキ部カバーを元に戻し
ます。輸送中の衝撃で外れたようです。
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取りあえず電源を入れてみます。
電源スイッチは背面右端にあります。
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電源は・・入ります。一列に並ぶVUメーターに、一斉に照明が
灯ります。ひしめき合うツマミ類とともに、メーターのバックライトが
プロの世界を醸し出します。が、2チャンネル(左端から2番目)の
ライトが点灯していません。多分電球が切れているのでしょう。
また、一部のツマミが紛失しているようで間の抜けた印象です。
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まず、テープデッキ部の動作確認を行います。
テープは走行しないと予め聞いておりますが、
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この時代のオープンリールデッキでフルロジック
コントロールです。「PLAY」を押しても無反応です。
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テープが装填されていないことを、テンションアームに
内蔵されたセンサーが検知しているのでしょう。
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テンションアームがテープ走行位置に
来るようマスキングテープで固定すると・・
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ソレノイドが動作してピンチローラーがキャプスタンに
接触します。これでテープが送られるはずですが、
よく見るとキャプスタンシャフトが回転していません。
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セミプロ用の機材を相手に何か分かったような
気分がします。よくあるベルト切れでしょう。
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ベルト交換で直るならラジカセと同じじゃねぇか。
38kgを縦に置いて外装を外していきます。
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サイドの化粧板を外します。30mm厚くらいの
MDFで、さほど頑丈な材料ではありません。
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一部で材料の崩壊が起こっています。ですが、MDFの
脆さが衝撃から本体を保護しているのかも知れません。
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化粧板と本体金属板の間に水が浸入したので
しょうか。金属板から生じた錆が広がっています。
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本体金属板の一部は錆による腐食が
進行し、穴が開き始めています。
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化粧板を固定しているネジの1本が、
錆により本体と固着しています。
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ネジ頭とネジの途中で折れてしまい
ました。ネジ穴の再利用も困難です。
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雨天時に屋外で使用されたのでしょうか。サイドパネルと
コンソールパネルの接合部で錆が成長しています。
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底板を外します。38kgの本体を
支える頑丈な鋼板製です。
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周囲と中央部に固定ネジがあります。筐体の
組み立て構造からもアナログ感が漂います。
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底板が開きます。手前にテープ
デッキの駆動系が見えてきます。
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底板が外れたところで、内外から
もう一度錆の状態を点検します。
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金属製筐体の内部までは
錆が及んでないようです。
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ミキサー・MTRとしては小規模な方でしょうが、よくこれだけ膨大な
部品配置と配線作業をやってのけたものです。回路基板の枚数の
多さに、この時点では気が遠くなる思いがします。手が出ません。
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ともあれ、デッキのキャプスタンが回転しない理由、多分
駆動ベルトが切れているのではないか・・の予想がまんま
当っています。破断したベルトの欠片も見当たりません。
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欠片が見当たらないのではなく、変質した
状態で駆動プーリにこびりついています。
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スクレーパの刃を使い丁寧に
こそぎ落としていきます。
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他方、キャプスタン軸に取り付けられた大径
フライホイールの外周面にもこびりついています。
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こちらもスクレーパで取り除きます。
外周面に傷を付けたくありませんが、
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このこびり付きようは半端ではありません。
フライホイールの金属表面を軽く浸食しています。
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ベルトカスを徹底的に取り除いた
上で、IPAで表面を清掃します。
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0.05%(WRMS)の低ワウフラッターを
実現する大径肉厚のフライホイールです。
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モーター側のプーリも同じように
IPAを使用して清掃します。
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駆動ベルトを交換するには、キャプスタンの
スラストブラケットを取り外す必要があります。
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作業中にフライホイールに力を加えることは禁物
です。キャプスタン軸を変形させかねません。
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ブラケットにキャプスタン軸の根元が
当たる部分にグリスを入れておきます。
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工房在庫の5~10mm幅ベルトの
中から適当な長さを選び出します。
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サービスデータが無いので、付けたり外したりを繰り返して程良い
テンションのものを選びます。これまでの経験からして、テンションの
過不足があると、軽く回転させただけでベルトがずれてプーリーや
ホイールから外れてきます。逆に考えると、サービスデータ通りの
ベルトであっても、外れてくるようでは使い物になりません。さて、
ベルトの交換を終えたものの、やはりキャプスタンが回転しません。
キャプスタン軸が回らないのではなく、モーターが動作していません。
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この時点で、ベルト交換で楽勝・・の
パターンはどこかに消え去ります。
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内部を調べるため、デッキ部分を覆うカバー・
パネル類をひと通り取り外すことにします。
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先ほどせっかく元に戻したアクリル製
ダストカバーですが、あらためて外します。
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デッキの内部を確認するには、この駆動系
全体を覆うパネルを外さなければなりません。
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パネルを取り去るには、溝を通るこの
テンションローラーが邪魔になります。
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化粧カバーを兼ねたローラーキャップが
ねじ込み式になっており、外すことができます。
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するとテンションローラーも抜き取ることが
でき、これでパネルの溝を抜けられます。
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左右のテンションローラに加え、ピンチローラー
およびそのキャップも邪魔になります。
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キャップは同じくねじ込み式です。キャプスタン
シャフト側に雌ネジが切られています。
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ポリワッシャとともにピンチ
ローラーを抜き取ります。
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駆動系パネルは周囲4か所で
ネジ固定されています。
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ですが、先に手前の操作パネルを
外しておかなければなりません。
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外観を考慮しているのか、4本の
ヘキサネジが使われています。
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デッキ操作パネルを
軽く持ち上げておきます。
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取り外す部品がまだあります。
左右のサイドサッシです。
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内側から2本のネジで
固定されています。
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防塵と化粧を兼ねた
巧妙な成型部品です。
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反対側も同じように外します。こちら側には
ダストカバーのガイド溝が加工されています
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今度こそ外れて来るでしょか。テンション
ローラーの溝に指を入れて持ち上げます・・
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が、ヘッドブロックのカバーであるベース
ハウジングがしっかりネジ固定されています。
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6角レンチを使い、5本の
ヘキサネジを緩めます。
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ベースハウジングを
取り外します。いやはや・・
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ヘッドブロックの両脇にあるローラーは
パネルを貫通するのでそのままです。
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ようやくパネルが外れてきます。これで
原因が分からなかったら・・残念です。
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さすがに贅沢な部品構成です。計3個のソレノイドが並び、
中央の1個は左右巻取りリールのブレーキシュー駆動用。
左側の1個はテープリフター駆動用、右側の1個は再生・
録音時にピンチローラーをキャプスタンに接触させます。
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カセットデッキなど比較にならない
重厚でゆとりに満ちた造りです。
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ただし、このモーターが動作すればの話ですが。
回路計を当てると電圧が加わっていません。
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モーターの駆動回路、つまり
電気系統に問題があるようです。
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本体後方の上面カバーを外します。
内部に回路基板が集中しています。
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背面パネルに放熱器が
取り付けられています。
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放熱器を外してみると、主に電源回路の
パワートランジスタが並んでいますが、
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右端の2SD313はキャプスタン
モーターのサーボコントロール用です。
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放熱器を配線ごと引き出してみると、
何と突然モーターが回り出します。
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そうかと思うと再び回らなくなります。途中のコネクタ
あたりで配線が接触不良でも起こしているのでは?
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コネクタ類の接続を調べるには、背面
パネルを外さないと手が入りません。
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手前のコネクタは何とか脱着できますが、
奥(下方)にあるものはまだ無理です。
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背面オアネルのアクセサリソケットの
固定ネジをいったん緩めます。
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ソケットへの配線が解除され、
背面パネルがさらに開きます。
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サーボ用トランジスタへの
配線元をあらためて辿ります。
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この3ピンコネクタに
つながっています。
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基板側の端子に接点復活剤を吹き付けて
みます。ついでに他のコネクタも処置します。
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結果は、相変わらずです。何かの拍子で
モーターが回転したりしなかったりします。
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迷宮入りしそうな状況に耐え
ひたすら原因を探します。
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やはりパワートランジスタ基板に、ある
触り方をするとモーターが動作するようです。
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基板を点検するにはトランジスタを固定している
これらすべてのネジを緩めなければなりません。
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基板が放熱器から外れましたが
配線の余裕はギリギリの状態です。
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無理をするとビニル線が基板への
半田付け部分で切れてきます。
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基板の裏側、配線パターン面です。ビニル線が
トランジスタの端子に接続されているだけです。
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Q1からQ5までパワートランジスタの
接続を確認している時に気づきました!
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基板裏面に「TP-S47-T」と印刷のあるすぐ隣、パワートランジスタ
端子の半田付けに「浮き」があります。モーターのサーボコントロール用と
同じ2SD313で、デバイス番号はQ2です。電源回路で+15Vの供給を
担っており、+15Vが途切れるとモーターのサーボ回路が動作しません。
パワートランジスタ基板に触れることでこのクラックが時々導通し、一時的に
電源回路が復活してモーターが回転したようです。修理作業は簡単です。
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半田を付け直す・・それだけです。ただし、
フラックスを併用して半田を密着させます。
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Q1からQ5全てのパワートランジスタに
ついて、念のため半田付けし直しておきます。
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1985年に65万円もした機材が、半田付けの浮きごときで
ダウンするとは・・。このくらいの基板ですと手作業で半田付け
していたかも知れず、長い年月のうちに不具合が生じても
仕方ないでしょう。しかし、半田付けのし直し程度で復活する
ような不具合により、これまでにも多くの機材が廃棄されて
きているとしたら、大いにもったいなく実に残念なことです。
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キャプスタン軸が力強くかつ静かに回ります。
ペーパーを当ててシャフト表面を研磨します。
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ペーパーの番手を上げて、
鏡面に近くなるまで磨きます。
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送り出し側、巻取り側ともにリール駆動用モータも快調に
動作します。センサーでテープのテンションを検知しながら
トルクを刻々と変化させて適切な回転数を維持します。
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これで駆動系の修理は一段落で、
次に信号系の動作確認に移ります。
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録音済みの古いテープを探し
出してきて再生してみます。
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現時点での状況は、接続したヘッドホンからかすかに再生音が
聞こえてきます。4.75cm/sで録音したテープを19cm/sで
再生しているのでえらく早口になりますが、それはどうでも良い
ことで、小さ過ぎる信号がテープや増幅系のノイズに埋もれがち
であることが大問題です。最悪の場合、8チャンネルのマルチ
トラック録再ヘッドが寿命の可能性もあります。そうなると補修
部品など入手できるワケがなく、折角成功したデッキ部の修理も
徒労と化します。そして、この膨大な回路構成に対して、どこから
手を付けていったら良いのか、ただ途方に暮れてしまいます。
TASCAM388執念の修理2へ
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