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11月にスクローラ(糸鋸盤)の整備で学校に出向いた際、
続けて籾摺り機も整備してきました。自前の水田で収穫
される200kgほどの籾を脱粰するため、年に一度必ず
使用されます。既に30数年が経過しており、点検整備が
必要です。2台のうち1台は不具合があるとのことです。
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大竹製作所製オータケミニダップは、型式がほとんど
変わらないまま現在に至る実に息の長い製品です。
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故障して使用できない1台は、電源を入れると
この辺りから大きな機械音がするそうです。
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籾摺り機にはいくつかの脱粰方式があり、摩擦によるゴムロール式と衝撃に
よるインペラ式・ジェット式があります。オータケミニダップはインペラ式で、
図のように高速回転する羽根車で遠心方向に加速された籾が、外周の
樹脂製ライニングに衝突し摺り付けられることで籾殻が取り除かれます。
*図版の出典不明
ネット上に籾摺り機使用手順の動画があります。大竹製作所
FS20の説明ですが、外観に加えて風量調節、アラ取り網、
流量調節、シイナ口調整など各部の調節機能が同等である
ことからオータケミニダップと同型機であると判断できます。
*出典 https://www.youtube.com/watch?v=o0SettjjTic
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籾のフィーダー部カバーを外すため
2か所の固定ボルトを緩めます。
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フィーダーボックス内でこの太い六角ボルトが
回転し、籾を一定量ずつ内部に送り込みます。
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フィーダの上部に位置する籾の貯留ホッパーです。
インペラハウジングと一部干渉するので外します。
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ホッパーが外れるとハウジングに
アクセスできるようになります。
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ハウジングの手前カバーは3か所の
バックルで固定されています。
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バックルを解除するとカバーが外れ
内部のインペラ本体が現れます。
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この時点で不具合の原因が判明します。高速回転するインペラに
同軸で六角シャフトが継ぎ足されています(ねじ込み)。フィーダー
内まで突き出して籾を一定量ずつ取り込みます。本来は強固に
締め込まれているはずが、レンチなしで抜けるほど緩んでいます。
回転させるとフィーダー内で暴れるだけですから、大きな機械音
・・が、するはずです。籾摺りの度に増し締め点検の必要があります。
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早々に不具合は解消してしまいましたが
他の部分もひと通り点検・整備します。
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本体前面上方のカバーを外します。内部に可動部分は
ありませんが、入り込んだ籾殻や埃を取り除きます。
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風選別された籾殻が吐き出される
シューター・ダクトを外します。
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開口部の奥に吐き出し
ファンが見えています。
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予想に反して籾殻や埃はほとんど見えません。滞留・蓄積
しにくいように上手く設計されているようです。金属羽根の
表面に多少の錆が出ている程度で、変形もないようです。
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手前は脱粰された籾が吐き出されるシューターです。
その脇にセパレーターを固定するネジがあります。
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反対側のネジも緩めるとセパレーターが自由に
なるので、隙間から籾殻や埃を取り出します。
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おそらく風選別時の気流を調整するための部品かと
思われますが、そのノウハウには理解が及びません。
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ベースを除く本体上部で点検できそうな範囲は
この程度でしょう。手が届く限り綺麗に掃除します。
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動力源を含むベース部の整備にかかります。動力には500Wの
単相誘導型電動機が組み込まれており、プーリーとゴムベルトを
介して籾殻吐き出しファンを回転させ、さらに写真の反対側で
インペラとフィーダーシャフトも回転させます。途中にゴムベルトの
張りを調整するアイドラープーリーが取り付けられています。
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ゴムベルト(Vベルト)は目視点検上、特に劣化は
ないようです。ベルトの張り具合を確かめます。
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撓み幅が3cmほどもあり、ゆるゆるの状態
です。空回りせずよく回っていたものです。
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スライダーの固定ボルトを緩め、アイドラーを
調整します。最大限の位置まで移動します。
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ということは、やはりベルトはかなり伸びて
います。全ての軸受けに注油します。
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反対側に戻り、インペラとハウジングを
完全に取り外した状態で掃除します。
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入り込んでいた籾殻などを取り除きます。水拭きして
本体表面も綺麗にしたいのですが、時間がありません。
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ハウジングを元の位置に正確に取り付け、インペラを
セットします。幸いインペラに損傷等はありません。
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フィーダーシャフトを兼ねる六角ボルトを
二度と脱落しないよう強く締め込みます。
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カバーを取り付ける前に試運転します。インパラあるいはシャフトの
どちらかに僅かな振れがありますが、許容範囲内だと思います。
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残る部品を全て取り付け、本体を元通りに組み上げます。
現行機種のFS20用ではありますが、消耗品である
インペラやライニングは現在も供給があります。オータケ
ミニダップのライニングは樹脂ではなくゴム製で、摩耗
してくると脱粰率が低下します。次回の整備ご依頼時
には、インペラと合わせて是非交換をお勧めします。
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