マンション宅配ボックス第2段(1)の続きです。大中小5台の
宅配ボックスから錠前装置を取り外し、持ち帰って来ました。
ユニットは全て共通で同型のものです。工房内で作業した
方が、時間を気にすることなく不具合をじっくり調べられます。
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実は、乾電池を入れ替えてみたら一時的に
動作することもあった、などとお聞きしています。
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高密度に実装された制御回路が故障
する可能性は、あまりないと思われます。
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対して、数十年経過した配線関係には単純な
接触不良等が生じている可能性が大です。
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乾電池ホルダー奥のリセットスイッチを押すと、
ピッと音がしてパネルに「FFFF」が表示されます。
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何台かのユニットで表示が出ないので
乾電池の電圧を確認します。
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まだ乾電池は新しいようなので
ホルダー金具の接触を疑います。
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目視で明らかに分かります。かつて乾電池が
液漏れしたのでしょう、金具が腐食しています。
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接触不良どころか通電するはずもなく、
リュータで腐食部分を削り取ります。
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綺麗になりました、
こんなものでしょう。
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マイナス側の金具(バネ)も
簡単に手当しておきます。
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リュータで乾電池マイナス極
との接触部分を研磨します。
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回路計で確認するといくらか抵抗が
残っています。根元のカシメ部が怪しい。
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青い酸化物が付着していたので大丈夫かと
思っていましたが、エアで汚れを飛ばします。
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接点復活剤を吹きながら
金具の様子を見ていると、
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根元のカシメ部分から
ポロリと取れてしまいます。
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乾電池ホルダーごと交換すべきでしょうが、本体
内での収まりなどそれはそれで面倒が伴います。
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新しいホルダーに交換せずとも
何とか修復する方法はあります。
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液漏れが原因で金属部品の
表面に酸化物が付着しています。
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端子とバネを固定するハトメは真鍮製のようで、
ここから腐食が広がっています。取り除きます。
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コードを接続している端子の
表面を研磨しておきます。
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ハトメの代わりに2mmの
ネジを使用します。
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ホルダーの外側からネジを入れ
端子とバネに通します。
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バネの内側にナットを
入れて固定します。
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念のためバネ金具~ビニルコード
間の導通を確認しておきます。
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錠前装置の中に戻します。他の
4台についても同様に点検します。
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専用キーで施錠解除すると、取り出し側パネル
上のLEDが点灯します。5台とも点灯します。
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制御基板には計5個のコネクタがあります。次にこれら
コネクタ接点の、経年劣化による接触不良を疑います。
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施錠・解錠用ソレノイドに電力を送るコネクタ
です。右端は乾電池電源のコネクタです。
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プラグ内の接点部分を
ケミカル処理します。
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反対側に操作パネルへのケーブルを
接続するコネクタが2個並びます。
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いずれも預け入れ側と取り出し側で
2組あります。ケミカル処理します。
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取り出し側の施錠・解錠機構です。この部分にも接触不良を
起こしそうな個所がいくつも含まれます。もちろん接触だけが
故障原因ではありませんが、単純な不具合は先に潰します。
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制御基板と操作パネルを
接続するケーブルを抜きます。
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制御基板と施錠・解錠機構を
接続するケーブルも抜きます。
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操作パネルを固定
しているネジです。
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操作パネルも点検したい
ので固定ネジを外します。
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操作パネルを引き抜きます。
取出し側に表示器はありません。
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ソケットで受けた信号をFFCを
経由でキーパッドに接続します。
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取り出し側は専用解除キーにより
手動で解錠することができます。
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取り出し側を開けることができれば
内側から預け入れ側を開錠できます。
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キー差し込み口の
内側を分解します。
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キーと一緒に、この円筒形の
樹脂製部品が回転します。
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円筒外側の突起により
レバーがスライドします。
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施錠・解除動作の元になる
ソレノイドが組み込まれています。
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キーによりスライドするレバーは
ソレノイドと排他的に機能します。
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施錠・解錠の状態は組み込まれた
マイクロスイッチにより検出されます。
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マイクロスイッチの接点は経年による影響(劣化)を顕著に
受けます。接触抵抗が測定できてしまう(数オーム)ようで
あれば原則的に交換です。ケミカル処理で回復させることも
可能ですが、特殊形状のマイクロスイッチで補修部品の入手が
困難な場合に限るべきです。続いて預け入れ側の施錠・解錠
機構を点検します。おおよそ取り出し側と同じつくりです。
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乾電池をセットし、預け入れ時の
施錠・解錠動作を確認してみます。
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ドライバーの先でロックのツメを
移動させ、解錠状態にします。
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荷物を入れ終わったものとして、預け
入れ側のキーパッドを操作します。
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暗証番号を入れます。仮に
「1111」としておきます。
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「#」を押すとソレノイドが動作し
施錠が完了するはずですが、
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本来はドアが閉まることでツメが押し戻され
ます。ここではドライバの先で戻します。
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ここでソレノイドが動作してツメにロックが
かかり、表示器が「USE」になります。
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ロックされているのでツメを動かすことはできません。
非常用の赤レバーを操作すれば強制的に解除できます。
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取り出し側に戻ると、ツメは
ロック状態にあります。
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ここで、キーパッドから先ほどの
暗証番号「1111」を入れます。
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「#」を押すとソレノイドが動作し、
ツメのロックが解除されます。
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ソレノイドに直結するこのレバーの
位置で、施錠・解錠が分かります。
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ドライバの先でツメの
位置を移動させます。
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解錠された状態なので、ツメのロックを
解除する位置に簡単に移動できます。
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荷物を取り出したものとして、
ツメを逆方向に移動させます。
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簡単に移動できますが、ロック位置に来ると
ソレノイドが作動してツメをロック(施錠)します。
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施錠・解錠を作動させるソレノイドは、預け入れ側・取り出し側ともに
正常です。施錠・解錠を検知するマイクロスイッチに、接点不良などの
問題がない限り錠前装置は正常に動作します。もちろん制御基板が
機能していることが前提です。マイクロスイッチの動作を入念に点検し
預け入れと取り出しの操作を繰り返します。乾電池も新しくします。
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金属製カバーに収められていますが、設置場所は
ほぼ屋外です。スイッチ類には厳しい環境です。
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乾電池ホルダのカバーも取り付けます。
後は現場に戻り取り付けるだけです。
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日を改め再び現場の横浜へ向かいます。乾電池ホルダの金具腐食や
マイクロスイッチの接点劣化など、故障の原因はどう考えても軽妙な
範囲にとどまります。対して、マンション住人の方々の長年にわたる
ご不便を思うと不憫であり残念です。もう少しだけご辛抱下さい。
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