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マンション宅配ボックス第2段(2)(2023.5.3)


マンション宅配ボックス第2段(1)の続きです。大中小5台の
宅配ボックスから錠前装置を取り外し、持ち帰って来ました。
ユニットは全て共通で同型のものです。工房内で作業した
方が、時間を気にすることなく不具合をじっくり調べられます。
 

実は、乾電池を入れ替えてみたら一時的に
動作することもあった、などとお聞きしています。

 

高密度に実装された制御回路が故障
する可能性は、あまりないと思われます。
 

対して、数十年経過した配線関係には単純な
接触不良等が生じている可能性が大です

 

乾電池ホルダー奥のリセットスイッチを押すと、
ピッと音がしてパネルに「FFFF」が表示されます。
 

何台かのユニットで表示が出ないので
乾電池の電圧を確認します。

 

まだ乾電池は新しいようなので
ホルダー金具の接触を疑います。

 

目視で明らかに分かります。かつて乾電池が
液漏れしたのでしょう、金具が腐食しています。
 

接触不良どころか通電するはずもなく、
リュータで腐食部分を削り取ります。
 

綺麗になりました、
こんなものでしょう。
 

マイナス側の金具(バネ)も
簡単に手当しておきます。
 

リュータで乾電池マイナス極
との接触部分を研磨します。
 

回路計で確認するといくらか抵抗が
残っています。根元のカシメ部が怪しい。
 

青い酸化物が付着していたので大丈夫かと
思っていましたが、エアで汚れを飛ばします。
 

接点復活剤を吹きながら
金具の様子を見ていると、
 

根元のカシメ部分から
ポロリと取れてしまいます。
 

乾電池ホルダーごと交換すべきでしょうが、本体
内での収まりなどそれはそれで面倒が伴います。
 

新しいホルダーに交換せずとも
何とか修復する方法はあります。
 

液漏れが原因で金属部品の
表面に酸化物が付着しています。
 

端子とバネを固定するハトメは真鍮製のようで、
ここから腐食が広がっています。取り除きます。
 

コードを接続している端子の
表面を研磨しておきます。
 

ハトメの代わりに2mmの
ネジを使用します。
 

ホルダーの外側からネジを入れ
端子とバネに通します。
 

バネの内側にナットを
入れて固定します。
 

念のためバネ金具~ビニルコード
間の導通を確認しておきます。
 

錠前装置の中に戻します。他の
4台についても同様に点検します。
 

専用キーで施錠解除すると、取り出し側パネル
上のLEDが点灯します。5台とも点灯します。
  

制御基板には計5個のコネクタがあります。次にこれら
コネクタ接点の、経年劣化による接触不良を疑います。
 

施錠・解錠用ソレノイドに電力を送るコネクタ
です。右端は乾電池電源のコネクタです。
 

プラグ内の接点部分を
ケミカル処理します。
 

反対側に操作パネルへのケーブルを
接続するコネクタが2個並びます。
 

いずれも預け入れ側と取り出し側で
2組あります。ケミカル処理します。
 

取り出し側の施錠・解錠機構です。この部分にも接触不良を
起こしそうな個所がいくつも含まれます。もちろん接触だけが
故障原因ではありませんが、単純な不具合は先に潰します。
 

制御基板と操作パネルを
接続するケーブルを抜きます。
 

制御基板と施錠・解錠機構を
接続するケーブルも抜きます。
 

操作パネルを固定
しているネジです。
 

操作パネルも点検したい
ので固定ネジを外します。
 

操作パネルを引き抜きます。
取出し側に表示器はありません。
 

ソケットで受けた信号をFFCを
経由でキーパッドに接続します。
 

取り出し側は専用解除キーにより
手動で解錠することができます。
 

取り出し側を開けることができれば
内側から預け入れ側を開錠できます。
 

キー差し込み口の
内側を分解します。
 

キーと一緒に、この円筒形の
樹脂製部品が回転します。
 

円筒外側の突起により
レバーがスライドします。
 

施錠・解除動作の元になる
ソレノイドが組み込まれています。
 

キーによりスライドするレバーは
ソレノイドと排他的に機能します。
 

施錠・解錠の状態は組み込まれた
マイクロスイッチにより検出されます。
 

マイクロスイッチの接点は経年による影響(劣化)を顕著に
受けます。接触抵抗が測定できてしまう(数オーム)ようで
あれば原則的に交換です。ケミカル処理で回復させることも
可能ですが、特殊形状のマイクロスイッチで補修部品の入手が
困難な場合に限るべきです。続いて預け入れ側の施錠・解錠
機構を点検します。おおよそ取り出し側と同じつくりです。
 

乾電池をセットし、預け入れ時の
施錠・解錠動作を確認してみます。
 

ドライバーの先でロックのツメを
移動させ、解錠状態にします。
 

荷物を入れ終わったものとして、預け
入れ側のキーパッドを操作します。
 

暗証番号を入れます。仮に
「1111」としておきます。
 

「#」を押すとソレノイドが動作し
施錠が完了するはずですが、
 

本来はドアが閉まることでツメが押し戻され
ます。ここではドライバの先で戻します。
 

ここでソレノイドが動作してツメにロックが
かかり、表示器が「USE」になります。
 

ロックされているのでツメを動かすことはできません。
非常用の赤レバーを操作すれば強制的に解除できます。
 

取り出し側に戻ると、ツメは
ロック状態にあります。
 

ここで、キーパッドから先ほどの
暗証番号「1111」を入れます。
 

「#」を押すとソレノイドが動作し、
ツメのロックが解除されます。
 

ソレノイドに直結するこのレバーの
位置で、施錠・解錠が分かります。
 

ドライバの先でツメの
位置を移動させます。
 

解錠された状態なので、ツメのロックを
解除する位置に簡単に移動できます。
 

荷物を取り出したものとして、
ツメを逆方向に移動させます。
 

簡単に移動できますが、ロック位置に来ると
ソレノイドが作動してツメをロック(施錠)します。
 

施錠・解錠を作動させるソレノイドは、預け入れ側・取り出し側ともに
正常です。施錠・解錠を検知するマイクロスイッチに、接点不良などの
問題がない限り錠前装置は正常に動作します。もちろん制御基板が
機能していることが前提です。マイクロスイッチの動作を入念に点検し
預け入れと取り出しの操作を繰り返します。乾電池も新しくします。
 

金属製カバーに収められていますが、設置場所は
ほぼ屋外です。スイッチ類には厳しい環境です。
 

乾電池ホルダのカバーも取り付けます。
後は現場に戻り取り付けるだけです。
 

日を改め再び現場の横浜へ向かいます。乾電池ホルダの金具腐食や
マイクロスイッチの接点劣化など、故障の原因はどう考えても軽妙な
範囲にとどまります。対して、マンション住人の方々の長年にわたる
ご不便を思うと不憫であり残念です。もう少しだけご辛抱下さい。

 
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