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・レーザー加工機6040改造 その1(2021.4.25) |
LASER VELOCITY AQLV-400の整備が完了し、本来の目的である こちらCHINA製6040レーザー加工機の改造を始めることができます。 「6040」とは加工テーブルのサイズが600mm×400mmであること からそう呼ばれています。AQLV-400が完全に稼働しないことには、 まず6040改造用の部品を製作できません。さらに、先に分解を始めて しまうと、急なお仕事に対応できませんでした。2014年の導入以来 7年間、工房の主力マシンとして働き(稼ぎ?)続けてきた6040を、 これでようやくチューニングアップ&リフレッシュすることができます。 |
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振り返ってみれば、何でここまでチープな製品が出回るのかと思うほどです。 X・Y・Z軸とも駆動系に使用されているお粗末な機械部品、ミラーやマウント など光学系の部品、いずれも安価で低精度のものです。しかし、購入当時に 製品を見分ける能力が自分に無かっただけであり、より高い加工精度の 必要性を感ずるようになったのは最近のことです。むしろこの安価な1台で これまで実にいろいろなものを作ってきたなぁと、愛着が湧いてきます。 |
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6040を改造してでも使い続けたい理由は、 その金属製筐体の頑丈さ(剛性)です。 |
精密加工機械の土台は剛性に富んだ筐体です・・が、 このバカでかい鋼板製ボックスなど処分不可能ですし。 |
改造を加えるのは主に駆動系と光学系で、 制御系やレーザー管は再利用します。 |
制御回路とのケーブル配線や エアポンプの配管を全て外します。 |
駆動系の固定ネジを緩めます。以前に X・Y軸の歪みを修正する際に経験しています。 |
奥側の固定ネジはテーブルの下にレンチを入れて 緩めます。テーブルの昇降機構(Z軸)が見えます。 |
X・Y軸の駆動系を持ち上げます。アルミ製 ベースフレームに組付けられています。 |
ベースフレームごと駆動系や光学系の 一切合切を引き出すことができます。 |
さらにハニカム製ワークテーブルを取り外します。 グラグラするので以前にワイヤー固定していました。 |
ワークテーブルのリフター金具が樹脂製の昇降ナットに 直付けで、水平方向にグラグラ(<ふらふら)しています。 |
アルミチャンネルを渡したので水平方向にはいくらかマシ でしたが。取り合えず内部に落ちた切り屑を掃除します。 |
今回は前後方向にも補強板を取り付けます。 5mm厚のアクリル板をスクリュー間に渡します。 |
同じ補強材を左右 ともに取り付けます。 |
一見弱々しい補強に見えますが、金属用接着剤を用いて リフター金具に固定したところかなりの剛性が出ています。 |
本体から取り出したベースフレームです。改造を要する駆動系・光学系 とも全てフレーム上に組付けられているので、本体の外で必要な改造を 加え、作業が全て完了してからフレームごと本体に戻すことができます。 |
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フレームを工作台(手術台?)の上に載せます。 しばらくの間、工作台上を占拠しそうです。 |
レーザーヘッドを取り付けるプレートはペラペラです。移動 ベッドも樹脂製ローラーが前後でレールを挟むだけです。 |
X軸のレールを外します。エアチューブやLED ポインタの配線を置くトレイも一緒に固定されています。 |
反対側には、X軸駆動用ステッピング モータのマウントが一緒に固定されています。 |
モーターマウントの一部が、Y軸駆動用の ゴムベルトにネジ固定されています。 |
Y軸は本体左右2本のゴムベルトで駆動されます。右側の ガイドは樹脂製プーリがフレーム内を往復するだけです。 |
それでも左側のガイドにはまぁまぁの 12mm径リニアシャフトが使われています。 |
モーターマウント内に57mm長のリニアブッシュが組み込ま れています。が、全体的なガタが大きく生かされていません |
改造の基本は、まずX・Y軸駆動系を リニアレールとブロックに置き換えることです。 |
元のベースフレームを再利用し、X軸には 2020のアルミプロファイルを使用します。 |
リニアレールはX軸用に750mm、Y軸用に450mmのものを用意しました。 ワークエリア600mm×400mmに対してかなり余裕を見込んであります。 以前にも3Dプリンター用に購入した実績もあるので、相変わらず中国製の 格安品です。AQLV-400の整備に取りかかる前に到着していました。 ベースフレームの上に仮置きしてみます。アルミプロファイルも含めて丁度 良いサイズで、長過ぎて鋼鉄を切断する羽目にはならなくて済みそうです。 |
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最初に、Y軸用スライドブロックにX軸用 アルミプロファイルを固定する部品を作ります。 |
AQLV-400で5mm厚 アクリル材を切り出します。 |
スライドブロックに固定するための 20mm間隔の穴(径3mm)です。 |
トラスネジの頭を埋めるため リーマーで溝を掘ります。 |
ネジ穴の位置が正確に一致します。 AQLV-400の調整は問題ありません。 |
横に伸びた腕部分がX軸アルミプロファイルを支えます。 M4ネジが2個の穴を通りTスロットナットで固定されます。 |
リニアレールのベースフレームへの固定方法ですが、 本来ならばレールに開いた穴を通してネジ固定でしょう。 |
しかし、ベースフレームにもネジ穴を開け なければならず、しかも高い精度が必要です。 |
レーザーヘッドが移動するだけなので、 大して外力は加わらないはずです。 |
「大丈夫か?」というような固定方法を採ります。正確な 位置に取り付けることを優先し、両面テープを使用します。 |
しかも、レールがぐらつかないよう 一般用の薄手テープを用います。 |
取付位置を正確に割り出すため、ベースフレームの 内側に位置決め用の木片を2カ所取り付けます。 |
木片に密着するようレールを貼り付ければ ベースフレームの端に正確に揃います。 |
貼り付け前に金属面をアセトンで洗浄してあります。 接合面積があるのでテープとはいえ強烈に固定されます。 |
プロファイルのスロット内にTナットを 入れ、2本のネジで固定します。 |
作業が順調に進み、X軸・Y軸とも 駆動レールが固定されました。 |
アルミプロファイルを手で前後させると、想像をはるかに超える軽さです。 X軸の左右どちらかの端に力を加えても、つかえる(引っ掛かる)ことなく 全体がスゥーっと移動します。正にリニアレールとブロックの威力です。 |
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ここで早くも設計を変更します。5mm厚アクリル材では X軸のアルミプロファイルが僅かにぐらつきます。 |
同じく5mm厚のアルミ板に交換します。 形状は長方形のままで問題ありません。 |
幅は元のアクリル製部品と同じ35mm です。長さも同じサイズに切断します。 |
ネジ穴の位置にセンターポンチを 打ち、ボール盤で正確に穴開けします。 |
当て板をしなかったので穴の 周囲にバリが出ています。 |
汚れ落としも兼ねて表面を 裏表とも研磨します。 |
トラスネジの頭を埋めるため、 リーマでネジ穴の周囲を彫ります。 |
ネジの頭が完全に 隠れることを確認します。 |
あらためて左右のスライド ブロックにネジ固定します。 |
やはりアクリル材とは質感が明らかに 異なります。ガタもぐらつきも感じられません。 |
アルミプロファイルの下面に Tナットを用いて固定します。 |
左右とも固定し終わると、X軸のアルミプロファイルを ねじろうとしても微動だにしません。十分な剛性です。 |
面倒な段階に入っていきます。X軸駆動用 ステッピングモータのマウントを製作します。 |
X軸にモータを固定すると同時に、X・Y両軸の リミットセンサーも取り付けなければなりませn。 |
最初に設計した暫定案です。 モータをX軸に固定するだけです。 |
AQLV-400の調子が良く、 ネジ穴がピタリと一致します。 |
X軸にY軸方向の駆動力を伝えるため、 Y軸ベルトに固定する部分を追加します。 |
この設計ではモータの取り付け位置が高くなり、 第1・第2ミラー間でレーザービームに干渉します。 |
モータの取り付け位置を低く変更します。 ベルト固定部のデザインも簡単にしました。 |
AQLV-400の調子が良いので 部品の作り直しが苦になりません。 |
M4ネジを入れTスロットナットを 途中までねじ込んでおきます。 |
X軸アルミプロファイルの 側面溝に取り付けます。 |
アルミ板には及びませんが、5mm厚アクリル板の強度は なかなかのもので実用上十分な剛性も得られます。CADと レーザー加工により自在形状に切り出せることが何よりです。 |
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Y軸方向のリミットセンサーを取り付けるため 再び設計を変更します。下端に突起も追加します。 |
5mmのスリーブを介して センサー基板をネジ固定します。 |
リミットセンサーにはスリットタイプの フォトセンサーが使われています。 |
ベースフレームに元から金属製のプレートが 取り付けられています。そのまま再利用します。 |
CAD上で位置関係を割り出しているので 大きくずれることはないはずですが・・ |
X軸を原点まで移動させると、プレートが センサーのスリットに正確に嵌まります。 |
モータマウントの反対側に、第2ミラーを 固定するミラーマウントを取り付けます。 |
2枚のアクリル製部品を直角に組み合わせます。 そのため接合面を正確な直角に修正します。 |
ガラス板の上でマスキングテープで 固定しながら仮組みします。 |
接着部分にスコヤを当て、直角を 保った状態で接着剤を入れます。 |
部品が正確かつ美しく切り出されて いるので、組み立て作業が楽しみです。 |
X軸アルミプロファイルに取り付けてみます。 やはりミラーのマウント部分がぐらぐらします。 |
問題が発覚する度に、即設計を 変更し部品を作り直します。 |
ミラーマウントの高さ調整も兼ねてアクリル板を 2枚重ねとし、筋交い状の補強板も追加します。 |
ガラス板の平面上で正確に 接着、組み立てます。 |
これはまだ設計変更の途中 段階での組み立ての様子です。 |
精密で美しい部品が次々と出来上がってくると面白くて仕方が ありません。しかし、いくら美しくともその機能が不十分では意味が ありません。ミラーマウントはまだ改良が必要になりそうです。 |
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モータマウントおよびミラーマウントと Y軸ベルトとの固定方法を考えます。 |
反対側のX軸プロファイル端と Y軸ベルトとの固定部分です。 |
現状はアルミプロファイルからアームが延びて いるだけで、ベルトとの固定方法がありません。 |
Y軸ベルトとアームを連結する 補助プレートを切り出します。 |
アームの先端に突起を追加することで 補助プレートを差し込めるようにします。 |
補助プレートの先端にY軸 ベルトがネジ固定されます。 |
Y軸ベルトは、X軸の左右両端に1本ずつ、計2本取り付けられており、1個の ステッピングモータで同時に駆動されます。両端で各ベルトに連結されると、 X軸はもはやガタとは無縁の高精度な駆動系を構成します。分解前のリニア ブッシュと樹脂製ローラーによる貧弱な駆動系とは、既に比較になりません。 レーザー加工機6040改造 その2へ |
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