
7月も月末近くとなり、月が明けるとお盆まで1週間しかありません。デッドラインが
視界に入ってきました。それでも、本体箱組みと屋根、台座も完成しているので
何とか納品は間に合いそうです。意外と手間がかかりそうな開き戸を作ります。
*記事のアップがかなり遅れていますが、実際には7~8月の製作事例です。
|

元の開き戸はとても繊細に作られています。
見合った材料としてセンの柾目材を使用します。
|

左右枠材の傾斜を測定します。
正確に再現したいものです。
|

傾斜角に合わせスライドソーで
材料端を斜めに切断します。
|

他端は現物合わせで
長さを決めます。
|

4本の枠材を用意します。上下枠の
両端も傾斜を付けて切断します。
|

左右枠材に包み接ぎ用の
切り欠きを加工します。
|

昇降盤の刃の高さを調整し、枠材の幅を僅かに
上回って目違いが生ずるよう切り込みます。
|

胴突鋸で横挽きして切り欠き
ます。角度は目検討です。
|

真面目に(丁寧に)作業しているので部品が素直に組み合い
ます。元の開き戸に見劣りしないよう、綺麗に細工を進めます。
|

包み接ぎ部に接着剤を入れ
ガラス定盤の上で固定します。
|

枠全体が平面を保つよう、
ウェイトを置いて押さえ付けます。
|

枠内に入れる格子を用意します。
センを細い角材に切り出します。
|

元の開き戸は左側に3本のみ格子が入っています。理由が
あるのでしょうが、勝手に解釈を変え横幅全体に入れます。
|

5本の格子を均等に配置するため、上下の
枠を6等分し桟の幅を正確に書き入れます。
|

格子を枠材にイモ付けするわけには行きません。
元の開き戸は溝を掘って埋め込んでいます。
|

そのような凝った細工を難なく取り込んでいる点が元の
灯籠の凄いところです。切れ味の良いカッターを試します。
|

切れ味は良くても薄刃のカッターは、
硬いセン材には通用しないようです。
|

平面に正確に切り込むことは出来ますが、
四角に彫り込む場面で力が入りません。
|

やはり彫刻刀の出番です。ホームセンターで
5mm幅の平刀(安物)を購入してきます。
|

#5000砥石で仕上げると、安物でも
そこそこの切れ味を出すことが出来ます。
|

カッターナイフと異なり刃先に力を加える
ことが出来るので、作業がはるかに捗ります。
|

溝の両側および奥を垂直
方向に切り込んでから、
|

底をさらいます。指物職人がほぞを
さくさく加工するような訳には行きません。
|

最後に両側と奥の垂直面を
綺麗かつ正確に仕上げます。
|

15分ほど格闘してやっと最初の溝が開きました。
上下で10個も同じ作業を繰り返さなければなりません。
|

最初の1個を彫り終えた時点でかなり気が引け、何か道具を工夫して簡単に溝加工
出来ないか考えるも、良い方法を思い付きません。諦め境地で作業を続け上段側の
5個を何とか彫り上げました。このような地道な作業をないがしろにしてはいけません。
|

溝の周囲を傷めないようマスキングし
下段側の残り5個を加工します。
|

我ながら最後まで良く頑張りました。
安直にイモ付けなどしなくて正解です。
|

現物合わせで格子を
必要な長さに切ります。
|

格子を溝に入れてみます。もう少し
溝がタイトでも良かったようです。
|

5本ともセットしてみます。枠内全体に格子が入っている
方が自然に見えるのですが、なぜ元は3本なのでしょう?
|

あらためて接着剤を
入れ固定します。
|

溝が少しルーズな分は接着剤が充填されて
丁度良いくらいです。所々隙間が残るので、
|

木工用パテを充てて慣らします。幸い
開き戸の裏側なので目立ちません。
|

パテの乾燥を待って
ペーパーをかけます。
|

左右枠材の上下端に目違いが出来ています。
目違い払いを行って面一に仕上げます。
|

ベルトサンダーに押し当てると
簡単に削り取られます。
|

目違い払いと同時に木口面が
綺麗に処理されています。
|

新しい開き戸が組み上がりました。白木製の神棚の作られ方に似ているように
思います。しかし、無垢の白木を一点も汚さず傷付けずに神棚まで仕上げる
工程は、想像するだけで気が遠くなります。開き戸1枚だけなので救われます。
|

本体と同様にウレタン塗料で
塗装し防水対策とします。
|

間口と開き戸の当たりを取るため、
裏側に取当たりを付けることにします。
|

箱組みを製作したシナ合板の端材から
戸当たりとなる枠を切り出します。
|

開き戸の裏側に収まり、かつ
本体間口の内側に嵌まります。
|

化粧の意味もあり、
塗装しておきます。
|

本体箱組み内部が黒で塗装済みなので
枠も同じく黒(艶消し)に塗装します。
|

枠を接着し本体に取り付けてみます。
箱組みの開口部よりひと回り大きくしました。
|

5本の格子が灯籠の内部と外部を
厳重に分けている印象を受けます。
|

開き戸の内側にも障子紙を入れます。
満月や三日月と同じ1mm厚プラ板です。
|

戸当たりの内側に嵌め込み
サイズを確認します。
|

ゴム系の接着剤を、枠材から
はみ出さないように塗り付けます。
|

プラ板の艶のある面を内側にします。艶の無い
面を表側にして光沢が出ないようにします。
|

プラ板の光沢が抑えられ、障子紙の雰囲気が出ています。センの白木と
風合いが良くマッチしていると思います。落ち着いた印象の開き戸です。
|

開き戸を本体に取り付ける
真鍮製丁番を用意します。
|

尖った角が何とも俗っぽい
ので、丸く成形します。
|

ネジ穴の外側ぎりぎりの
径で形を整えました。
|

出来れば工芸家具用の装飾金具を使いたい
ところですが、まぁまぁのクオリティでしょう。
|
木製灯籠を作る その4へ
木製灯籠を作る その6へ
|
守谷工房の製作品へ
守谷工房Topへ
|
|