守谷工房のリペア5へ 守谷工房Topへ
キャプスタン径と回転数の関係を計算してみます。 当時広く使われていた同期モーターの回転数は、 N=120f/P (r/min) f : 電源周波数(Hz) P : モーター極数(4) により計算できます。西日本の電源周波数は 60Hz、一般的な同期モーターは4極なので、 N=120・60/4=1800(r/min) ターンテーブルの直径は実測値で200mm、 33.3回転用キャプスタンの径3.42mm、 N(33)=1800・3.42/200=30.78(r/min) 45回転用キャプスタンの径4.69mm、 N(45)=1800・4.69/200=42.21(r/min) 33.3回転、45回転ともやや遅いようですが、 キャプスタン径を測定する際に誤差を伴った 可能性もあります。電源周波数が50Hzの 東日本地域で同じモーターを回転させると、 N=120・50/4=1500(r/min) ちょうど6分の5の回転数に低下します。 キャプスタンを変更することなくそのまま ターンテーブルを回転させると、 N(33)=1500・3.42/200=25.65(r/min) N(45)=1500・4.69/200=35.18(r/min) これではとても聴けたものではありません。 33.3回転のLPレコードを45回転で再生 して、音程が少し高く聴こえるくらいです。
次に、電源周波数50Hzの東日本で、本来の 回転数を得るためのキャプスタン径を求めます。 ターンテーブルの径と回転数比から計算すると、 1500・D(33)/200=33.3(r/min) 1500・D(45)/200=45.0(r/min) D(33) : 33.3回転用キャプスタンの径 D(45) : 45.0回転用キャプスタンの径 D(33)=33.3・200/1500=4.44(mm) D(45)=45.0・200/1500=6.00(mm) 33.3回転用、45回転用いずれも2割弱 ほど太くなります。新しく削り出す寸法決定です。
何故こうも回転数が高くなるのか、原因が よく分かりません。モーターの回転数が 高かったり気まぐれにに変化するはずは ないので、回転数比から計算で割り出した キャプスタン径では大きいということです。 元の60Hz用キャプスタン径の実測値を 正確なものとして、つまり33.3回転用が 3.42mm、45回転用が4.69mmで それぞれ正確な回転数を得ていたとして、 電源周波数(モーター回転数)の変化から 単純に新しいキャプスタン径を求めます。 D(33)=3.42・1800/1500=4.1(mm) D(45)=4.69・1800/1500=5.6(mm) 33.3回転用を4.44mmから4.1mmへ、 45回転用を6.0mmから5.6mmに変更します。