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お仏壇製作8(各部組付~完成)

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製作開始からひと月以上が過ぎて、ようやくお仏壇の完成を迎える運びとなりました。
お見積もりの段階でご依頼元に納期を3週間程度とお伝えし、塗装作業が主な原因
とはいえ、これだけ遅れてしまったことを大変申し訳なく思います。ここに納められるで
あろうご位牌に心し、残る作業を最後まできちんと仕上げるのみです。
 


本体内部に棚板を1枚入れます。取り外しができるよう棚ダボを取り付けます。
箱組の中での位置決めは誤差が出やすいので、簡単な治具を使います。
 

棚ダボの位置に下穴を開けておきます。
 
 

既製品の棚ダボ(金属製)はなかなか高価です。
樹脂製スリーブと木ネジを使い自前で誂えました。
 

棚板の裏側に棚ダボがかかる溝が必要です。綺麗な
R形状に加工するためストレートビットを使います。
 

材が柔らかいため高速回転するビットで周囲が
捲れる心配があります。セロテープで養生します。
 

材料が蹴られないよう、しっかり保持し
ながらゆっくりとビットに当てていきます。
 

フェンスに突き当たったところで
切削完了のはずです。
 

恐る恐る被切削部分を確認してみます。
何とか半円柱状に抉られているようです。
 

材料の捲れもなく綺麗に切削されています。塗装後に作業
するとどうしても塗装面が傷むので、もう1回上塗りします。
 

最終組み立てに備えて、扉開閉用の蝶番を本体に取り付けておきます。
既製品の真鍮製蝶番ですが、この通りネジ穴の座ぐりが不十分です。
 

このままでは蝶番を閉じた時に、内側でネジ頭が
互いに干渉しかねません。座ぐりを入れ直します。
 


蝶番の真鍮材に厚みがないので、あまり大きく座ぐると
ネジ穴を壊してしまいます。この程度にしておきます。
 

まだいくらかネジ頭が飛び出しますが
頭同士の干渉は避けられるでしょう。
  

蝶番のみ本体に取り付けてしまいます。扉の
取り付けは引き出しを入れてからにします。
 

付属の真鍮製木ネジを使って本体に固定します。木材料も
真鍮も柔らかいので、そこそこに締めるに留めます。
 

全体的に飾り気を抑えたお仏壇にあって、
蝶番の金色はささやかなアクセントになります。
 

組み立ての終わっている引き出しを張り込みます。調整ありきで組み
立てた結果、引き出し外寸が箱の内寸を上回り、まるで入りません。
 

引き出しの外寸を鉋削りして調整します。丁寧な
仕事にするためこのような治具を用意しました。
 

クランプで固定した板材のはみ出し
部分に、引き出しを掛けます。
 

これで引き出しが安定するので安心して鉋を当てられます。
材の順目・逆目は立ち位置を変えることで対応できます。
 

おそらく最後の鉋がけになるでしょうから、ここで
刃を研いで肌の美しい引き出しを目指します。
 

面板・背板・側板の底に当たる木端面で高さを、
側板の両外側で引き出し幅を調整します。
 

木片を接着して、引き出しの奥止まりとします。
この時点で本体背板を本固定することができます。
 

引き出しの調整中に本体底板に傷が付くのを防ぐ
ため、両端にセロテープを貼って養生しています。
 

塗装を終えた扉を本体の上に載せてみます。塗装面
同士では粘着の心配があるので桟を介します。
 

収まりを確認したら、いよいよ蝶番に固定します。
陰になるネジ位置を探り当てるには工夫が必要です。
 

扉の底辺と本体の底板の間に厚紙1枚分の
隙間を取り、開閉時の擦れを防ぎます。
 

ネジ穴の中心位置は厳密に決定しなければなりません。
ネジ穴用のセンタードリルやポンチ形状のキリを用います。
 

ネジ穴の中心がずれていると、ネジを打ち
込むにつれて蝶番位置が狂っていきます。
 

小型の蝶番は取り付け後に位置
調整ができず、毎回1発勝負です。
 

今回も何とかなった・・というのが実感です。蝶番を正確無比に取り付け
扉をぴたりと収めるにはまだ工夫と練習が必要です。注文をいただいての
作業では、失敗できない緊張感があり非常に良い経験になります。
 

扉に取っ手を付けるとお仏壇もいよいよ完成します。ホーム
センターで購入した汎用品ですが落ち着いたブロンズ色です。
 

ここでもネジ穴の中心とネジの中心がずれることで
取り付け位置が狂うことのないよう注意します。
 

付属してきた木ネジは、扉の板厚に対して
長過ぎます。ペンチで先を数mm切断します。
 

取っ手自体の厚みも含めて
ちょうど良い長さです。
 

ドライバーが滑って扉表面を傷付ける・・・などと
いうヘマをやらかさないように慎重に締めます。
 

左右取っ手の中心間距離を30mmとしました。
40mmにするか迷いましたがすっきりした印象です。
 

完成致しました。
 
 

扉もスムーズに開閉します。マグネットキャッチの吸い付きが
少し弱い感じですが、扉を保持するには支障ありません。
 

ご依頼元に納品可能となりましたが、塗装面が
もう少し安定するのを待ってからにします。
 

本製作過程を最後までご覧いただき誠に有難うございました。
何らかのご参考にしていただければ幸いに存じます。

 
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