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ホンダ耕耘機こまめ(F200)の再生(2015.10.23~12.06)
 
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ガーデニング・家庭菜園を楽しむ方が、とりわけ定年退職後のシニア世代に
おいて急増しています。市町村が無料または安価で提供する菜園用地を利用
したり、小規模の農地を所有される方もおられます。農機メーカーが販売する
小型の耕耘機が大人気で、耕起や畝立て作業で圧倒的な威力を発揮しますが
新品の販売価格はいくつかの付属品を付けると10万円近くにもなります。


オークションサイトを覗いてみると、大人気を反映してか中古の小型耕耘機が
数多く出品されています。ほとんど新品同様のもの(価格も新品同様)から、
劣化や破損の進んだ廃棄寸前品(~1万円)まで様々です。工房ではジャンク
扱いの1台を落札しました。写真はオークションに掲載されていたものです。
 

出品説明には「リコイル引けますが不動、ジャンク扱いで、
中古品、現状販売ですのでご理解下さい。」とありました。

 

アウター・インナーともにローターの摩耗はさほどでも
ないようです。サイドディスクの状態も良好に見えます。

 
1.現状の確認

出品地域が埼玉県東松山市(工房から約70km)なので、直接引き取りに出向き
ました。小型の家庭用耕耘機はハンドルを畳むと自家用車のトランクに収まります。
 

外装部品は塗装膜の劣化が進み、金属部分には
錆が広がっています。意味のない電装品を外します。
 


樹脂部品の傷みが著しいものの、構造部品に
関して致命的な破損や紛失はないようです。
 

80年に発売された機種で、30年ほど経過しているもの
と思われます。ハンドルの汚れにも長い年月を感じます。
 


チョークを閉じ吸気ポートにガソリンを数滴送ると始動
します。が、回転を上げると白煙(オイル)が出ます。
 

ハンドルコラムの塗装面には一様に錆が出ています。
メッキ処理されたハンドルパイプは比較的綺麗です。
 


ローターはまだ十分使用可能ですが、リダクション
ケースの下部にオイル汚れ(漏れ)が見られます。
 

1980年に発売されたホンダ技研製耕耘機F200(こまめ)です。
ホンダ技研のWEBには取扱説明書等が見当たりません。
 

辛うじて海外向け製品に添付されていたと
思われる英語版のマニュアルが見つかりました。
 

しかし、一般ユーザ用の日常点検マニュアルに過ぎず、
分解整備に必要な情報はほとんど記載されていません。
 

F200の後継機種であるF220用の修理マニュアルが
ありました。100ページを超える十分に詳細な資料です。

 

F200もF220もほとんど変わらないと聞いたことが
ありますが、実際かなりの改良が加えられています。

 
2.分解作業その1 外装部品取り外し

F220用マニュアルから推測しながら整備を進めて
行きます。はじめに樹脂製トップカバーを外します。
 

トップカバーを開けると、その下にリコイルスタータが
見えます。全体に土埃がこびり付いています。
 

エアクリーナのカバーを外します。脱着しやすいよう、
頭の大きいマイナスネジで留められています。
 


内部にエアクリーナエレメントがセットされて
います。カバー内側にも土埃が回っています。
 

エアクリーナエレメントを取り出してみます。外側の
黄色のフィルターは劣化してボロボロ崩れてきます。
 

製品ロゴシールも剥がれかかっています。
代替品は入手できないでしょうから取り除きます。
 

リコイルスタータを取り外します。3個の
フランジナットで固定されています。
 

リコイルスタータが外れると同時に
フライホイールカバーも外れてきます。
 

取り外したリコイルスタータを点検します。ロープを
引く途中で一部引っかかる箇所があります。
 

分解してリコイルスタータスプリングの
動きを確認し、摺動部に注油します。
 

前方からフロントガードパイプを見ています。内側に
スロットルケーブルとクラッチスプリングがあります。
 

メインフェンダはフロントガードパイプにボルトで固定され、
さらにパイプはリダクションケースにボルト固定されています

 

ボルトを緩めてフロントガードパイプごと
メインフェンダを
取り外します。
 

外装品を次々と取り外すことでエンジン
本体へのアクセスがし易くなってきました。
 

フューエルタンク固定用ベルトを留めるビスを緩めます。
強烈に固着しているためドライバにレンチをかけます。
 

固定用ベルトの他端は折り曲げられてフックとして
引っかけるだけです。簡単に外れてきます。
 

フューエルタンクを取り外します。表面全体が土埃で
汚れています。タンク脇からの配管も外します。
 

エアクリーナの反対側、本体左側面に
CDIプラグ点火装置)が取り付けられています。
 

CDIおよびその周囲にも汚れが広がって
いるので、点検も含めて取り外します。

 

CDIユニットは樹脂で強固にモールドされています。
不具合や故障の可能性は低いと思われます。

 
3.分解作業その2 キャブレター取り外し

エンジンの不調原因の多くはキャブレターにあります。不調原因の特定は
もとより、キャブレターおよび周辺のクリーニングも行うため取り外します。
 

エアクリーナカバーからのダクト部に2個のフランジ
ナットで固定されています。まずこのナットを緩めます。
 

エアクリーナカバーを取り外します。
土埃+泥が内部まで入り込んでいます。
 

キャブレター全体が露出しました。ガバナを介した
スロットルのリンク機構もよく分かります。
 

キャブレターのマニホールドとエンジン吸気口の
接続部も、2個のフランジナットで固定されています。
 

フランジナットを緩めると、キャブレターがマニホールドごと
外れてきます。この時点で配管に重大な誤りがあります。
 

フューエルタンクから配管と、ストレーナを
介してキャブレターとリターンの配管です。
 

特に破損箇所は見当たりませんが、材質表面の劣化と
汚れが全体に及んでいます。内部の点検・清掃も必要です。
 

表面に「KEIHIN」の刻印があり、自動車部品メーカー
株式会社ケーヒンの製品であることが分かります。
 

表面の汚れ・酸化被膜をワイヤブラシで軽く落しました。
外観的には特に問題はなさそうです。

 
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