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6.クラッチの整備 |
3本のスタッドボルトの先端を接地することで、エンジン全体を倒立した状態で
自立させることができます。ボルトを緩めてリダクションケースを取り外します。
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ドライブプレート(プラネタリーギヤ)と
クラッチアウタにアクセス可能です。
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ドライブプレートはクラッチアウタ・ピニオンシャフトと
ギヤが噛み合った状態で置かれているだけです。
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クラッチの動作を確認します。クラッチアームの
動作によりクラッチカムが1/4回転します。
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クラッチケーブルを引くとカムの先がクラッチシューを
外側に広げ、摩擦によりクラッチアウタと一体化します。
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クラッチシュースプリングとともにクラッチシューを取り外します。
クラッチが完全に切れない不具合があるので点検します。
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クラッチシュー外周の摩擦材はさほど摩耗していません。
クラッチが切れないのはここに鉄錆が集積しているからです。
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7.ピストンリングの交換 |
クランクケースカバーは内部にあるボルトで
シリンダバレルに固定されています。
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ソケットレンチで固定ボルトを全て緩めます。
左下はエンジンオイルのドレンボルトです。
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クランクケースカバーが外れ、シリンダバレルの内部が見えてきました。組み
立て分解図面がないので、パーツ同士の位置関係を確認しながら進めます。
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シリンダバレルにオイルケースは付いていません。
クランクケースカバーが兼ねている構造です。
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クランクケースの裏側(上側)は吸排気バルブ
駆動用ギヤの軸受など複雑な構造です。
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黄色の樹脂製ギヤはガバナー駆動用です。
内側に遠心力で開閉するスピナーが見えます。
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シリンダバレルの内部です。30年前後経過している
とは言え、オイルに護られ美しい状態を保っています。
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吸排気バルブのタイミングを決定する合わせマークです。
唯一1カ所でしかパーツが噛み合わないので安心です。
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ピストンの取り出しにかかります。コネクティング
ロッドボルトにレンチをかけて緩めます
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コネクティングロッドボルトは抜き取ることのできる
位置がコネクティングロッドによって限定されます。
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スペースを十分確保できる位置に
おいて、予め大方緩めておきます。
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コネクティングロッドのネジ溝からコネクティング
ロッドボルトが離れていればOKです。
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もう1本のコネクティングロッドボルトは
この辺りでスペースを確保し緩めます。
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コネクティングロッドキャップが外れました。
ガバナギヤ駆動用のピンと一体になっています。
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クランクシャフトの状態を確認します。クランクピンと
コネクティングロッドの摺動状態は悪くありません。
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ここで、コネクティングロッドを干渉しない位置に
移動させ、クランクシャフトを抜き取ります。
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フライホイールとの固着があったクランクシャフト基部です。
シリンダバレルとのシールは問題ないようです。
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シリンダからピストンを抜き取ります。シリンダ内壁を損傷しないよう、慎重に
引き抜いていきます。このエンジンにはシリンダライナーは使用されていません。
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取り外したピストンリングのうちトップリングとセカンド
リングです。見た目では摩耗の有無は分かりません。
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こちらは取り外したオイルリングです。スペーサー
エキスパンダーがサイドレールに挟まれています。
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奇跡的なことに本田技研にスペアパーツの在庫が残っていました。但し、仕様変更(改良)が
あり、ピストンリングの断面形状や材質が異なっています。ピストンへの装着やシリンダへの
組み戻しは、神経の擦り減る際どい作業で写真に記録を残す余裕などありませんでした。
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8.クラッチケースの組み戻し |
組み戻す前にクラッチケースカバーの内側を点検
します。意外とスラッジの集積が少なく綺麗です。
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シリンダバレルにクラッチケースカバーをボルト
固定します。ゴム製ガスケットは再利用します。
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摩擦材に付着していた錆をワイヤブラシで落とし、
クラッチシューを組み付けてスプリングをかけます。
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クラッチアームを引いて、再度クラッチアームの
動作やクラッチシューの開閉を確認します。
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トランスミッションオイルが入れば、クラッチ機構は
オイルの中で湿式クラッチとして機能します。
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クラッチアウタに錆の発生や付着は見られ
ませんが、ウェスで清掃しておきます。
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クラッチシューに被せるように
クラッチアウタを組み付けます。
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ゴミ等が入り込まないよう注意しながら、クラッチ
アウタの内側にドライブプレートをセットします。
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大きな山場であるピストンリング交換とクラッチシューの整備が終わりました。本田技研の
初代家庭用小型耕耘機といえども、その合理的で精密な設計と製造に驚嘆しました。
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